新しい防具
騎士団が到着し、眠っている冒険者を捕縛していく。
そのまま荷馬車に放り込んでいくのを見ると、騎士団の人達も結構お怒りのようだ。
自分の国に、しかも王都にこれだけの闇組織に所属する者が居たのだ。そりゃ腹も立つよね。
その中の一人がこちらにやってきた。近衛団長によれば、その人は騎士団長だそうだ。
「この度の事に、王が詫びていると伝えて欲しいとの事でした」
「いえいえ」
「それと、怪我をさせずに捕縛していただき、ありがとうございました」
「襲われたので撃退しただけですよ」
「これで、闇組織を壊滅させる事が出来ます」
「そうですか、頑張ってください」
「はい。まずは尋問して……針が有効か?……いや、焼いた鉄を……」
なにやら危険な事を呟いている騎士団長。
まさかとは思うが、拷問はやめてくださいね?
騎士団とも別れ、やっと出発する事が出来た。
ちなみに近衛団長は馬を連れてきており、それに乗って付いてくるようだ。
俺はカンダさんと一緒に御者席。
「そうそう、福田さん。タルーンさんから防具を受け取りましたよ」
「そうだった! 着てみた?」
「ええ! あれは凄いですよ!」
「そうなの? じゃあ、休憩の時に見せてもらおうかな」
2時間ほど南下した辺りで休憩にした。
そこで荷台から防具を受け取ったついでに、皆で着てみる事に。
受け取った防具は予想もしてない物だった。
当初、確か皮の胸当てっぽかったはず。
なのに、これは皮で出来たジャケットに見える。
レザージャケットって言うのかな? それともライダージャケット? ミリタリージャケット?
まぁ、何か、そんな感じ。オシャレな作りになっている。
胸の所はポケットではなく、そこに前の胸当てが仕込んであるようだ。
色も茶色と白と黒の3色があり、俺は黒を渡された。
ちなみにカンキジコンビが茶色で、女性陣が白を渡されたらしい。
で、ミノタウロスの角なのだが、どこにも見当たらない。
気になったのでコタニさんが聞いたらしい。
実は、アレは特殊な薬品に漬けると溶けて皮状になるらしいのだ!
つまりミノタウロスの角を着ているって事だ。
これは柔軟性に優れ、しかも刃物を一切通さないらしい。
さらに、通気性が良い上に雨を弾くそうだ。
それに龍の鱗の粉を首元や手首などに貼り付けてある。
正に、最強の防具だそうだ。
そんなのを無料で貰って良いのだろうか?
カンダさんの話では、作った時に出た角のハギレだけで儲かるらしい。
5cm角のハギレを左胸に貼っただけの防具でも100万円もするのだとか……。
俺達の着てるジャケットって、いくらで売れるんだろうね……。
それを聞いていたアイさん。当然だが欲しがった。
「ズルい! 私にも作ってくれ!!」
「何がズルいか知りませんけど、無理ですよ」
「何故だ!!」
「まず材料がもう無いです。それに多分ですが、ムチャクチャ高いですよ?」
「少々なら出せる!」
「少々じゃ無いですよ? まず龍の鱗を取りに行く。次にミノタウロスの角を取りに行く。
最後に、それを加工してもらう。全部でいくらかかると思います?」
「うっ……500万くらいでどうだろうか?」
「その金額で受けてくれる冒険者は居ないと思いますよ?
キジマさん。ちなみに聞くけど、コレってもし売ったらいくらくらいだろ?」
「間違い無くオークションに出品されますね。なので天井知らずだと思います」
「マジか……最低いくらくらいになりそう?」
「……多分、安くても……1億は」
「「億?!」」
俺とアイさんが同時に驚いてしまった。
ただのジャケットに見えるのに、1億?! しかもそれで安いとは!!
確かに命を守る物だし、ついでに言えばオシャレな1品になってるので希少価値はある。
でも、こういうのを落札するのは好事家の貴族とかなんだろうなぁ。
億単位のお金で防具を買う冒険者なんて居ないだろ。
タルーンさんにも、何かお土産を買っていこう。




