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ミスリル

近衛団長の案内で、なんとか城から出る事が出来た。

おぉ、ここの王都も大きいなぁ。

城は天然の要害なので山の上に立っているが、その麓に町が出来ている。

少し離れた所に川が流れているが、山から川までが町になっている。

川は多分だけど、天然のお堀なんだと思う。


さて、今日は珍しく一人旅だ。

ただ、一人でウロウロしたら皆から怒られるので、どこかで呼ばなくちゃ。

やっぱり無難に宿屋かな?

でも1名で宿を取ったのに、部屋からゾロゾロと人が出てきたら怪しいよな。


やっぱり一番良いのは家を買う事なんだろうけど、そんなに来ないと思うんだ。

今日明日くらいが凌げれば良いんだよ。

そうだ! 倉庫を借りたらどうかな?!


貸し倉庫とか無いんだろうか?

例えばさ、冒険者なんか家を持たずに旅してる人とか居るじゃん。

そういう人って宿暮らしだと思うんだけど、宿の部屋に持って入れないような物もあると思う。

そういうのを預ける所があっても不思議じゃ無い。


しまったなぁ。そういう場所を聞いておけば良かった。

しょうがない、冒険者ギルドにでも行って聞くか。

って冒険者ギルドの場所も判らない!


途方に暮れていると、目の前を子供が通り過ぎた。

丁度良いや、この子に聞いてみよう。


「ちょっと良いかな?」

「人攫い?!」

「違うわ! 道を聞こうと思っただけだよ!」

「やっぱり人攫いだ! そう言って連れ去るってお父さんが言ってたもん!」

「確かにお父さんの言う事は正しいけどさ! 俺は違うから! 冒険者ギルドに行きたいんだよ!」

「人攫いは、皆、違うって言うよね?」

「ま、まあ、そうだろうけど……。じゃ、じゃあお父さんの所に案内してよ。お父さんから聞くよ」

「お父さんの所に連れて行ってあげようって言う人は人攫いだって、お父さんが言ってた!」

「案内する側が逆だから! 俺が連れて行ってもらう方だから!」

「難しい事は判らないよ~」

「手ごわいな……。じゃあそこの屋台で果物買ってあげるから」

「物をくれる人に着いて行ったらダメだって、お父さ……」

「3人家族かい? ちゃんと家族の分も買うよ。3つ買おう!」

「お腹空いたな~」

「判った、4つ買おう。今、1個食べたら良いよ!」

「うん! じゃあ、案内してあげるね!」


やれやれ、やっとかよ。

でも、お父さんの所に行くだけだからなぁ。

お父さんに冒険者ギルドの場所を聞かないと。

あれっ? 果物買った店で聞けば良かったんじゃね?!


連れて行ってもらった先は、金物屋だった。ここの息子さんか。

丁度良いや、フライパンとかお玉とかプレゼントしたから無くなったんだよね。

ついでに買っていこう。


「お父ーさーん! お客さんだよー!」

「あれっ? いつの間にお客さんになったかな?! まぁ、買い物するけどさ……」

「お客さん? ちょっと待て、今出る」

「じゃーね、お兄ちゃん。沢山買っていってね!」


お~ぅ、案内だけして放置ですか。

良いけどさ。店の中でも見ながら待つよ。

おっ、ピーラーとかあるのか。便利そうだ、買っていくか。


「お待たせ! いらっしゃい!」

「お邪魔してます」

「何が欲しいんだい?」

「えっとですね、とりあえず、お玉とフライパンですかね。後は店内を見て決めます」

「判った。お玉とフライパンな。こっちにあるから好きなのを選んでくれ」

「はい。あれ? このフライパン、色が違いますね」

「これはな、鉄じゃないんだよ。ミスリルで出来てるんだ! 油無しでも焦げ付かないぜ!」

「凄いですね!」

「今ならこれにミスリル製の鍋とお玉を付けて50万だ!」

「買った!!」

「……薦めといてアレだけどさ、よく買おうと思ったな」

「良い物なんでしょ?」

「当たり前だ! 最高級品だぞ!」

「じゃあ、問題ありませんよ。買います!」

「お、おう、ありがとう……」


この店は何を考えているのか知らないけど、何故かミスリル製の金物が沢山ある。

普通はミスリルって言ったら、武具に使うものだろうに。

まぁ、買う俺も俺だけど。

コップとか皿とか箸とか、本当に色々あった。

全て買っちゃった。良い買い物したぜ! 200万も使ったけどな!

後悔なんかしてないぜ! あっ、冒険者ギルドの場所聞くの忘れてた……。

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