新しい執事
大体の教育は終わったので、いよいよ本番だ。
勇者達には聖王国に戻ってもらい、魔王討伐に向かってもらうのだ。
企んだのはダヒュテムだが、それに乗った国。
まぁ、信じている神からのお告げなので、断れないだろうが。
その為に、国からも1軍隊が付いて来るそうな。
さすがに、ゲームのように勇者に全てをお任せにはしない。
あっ、そうそう、勇者達に魔王を倒させるのには隠れた理由があるんだよね。
それは聖王国に、俺が邪魔した事をバレないようにする為。
勇者を魔王を討伐せずに帰したら、多分またお告げが出るだろ?
そこで俺の名前なんか言われたりしたら大変な事だ。
ヘタすりゃ戦争になるぞ?
勇者には魔王を討伐したら連絡してもらうように、携帯電話を渡しておいた。
俺達はウロウロするから、なかなか捕まらないから。
ルシファーさんにお願いしたら、1秒後に届けられたんだよね。
「お世話になりました」
「いやいや。頑張ってくれよ」
「はい。頑張ります!」
「俺達の事は誰にも言わないようにね? それとあの神を敬う振りを忘れないように」
「心得ています。じゃあ、行ってきます!」
こうして、勇者達は転移していった。
は~、肩の荷が下りたよ。これでしばらくはのんびりして居られるね。
昨日の内に、スイーツダンジョンのコアも埋めたし。
急ぎの用事も無い。
……あっ! 忘れてた! 防具!!
という事で、王都に来ております。
よくよく考えれば電話すれば良かったのだが、慌てて気づかなかった。
残念ながら、タルーンさんは不在だったのだ。
2日後には帰るという話なので、王都の家で待つ事に決めた。
ついでなので、王都の家にもマーカーを設置しておいた。
なぜなら、島での家事をする人が欲しかったから!
ヒタキさんに相談しよう。
「それならば、条件を付けて雇いましょう」
ヒタキさんを登録して連れて行ったんだが、驚きもせずにあっさりと答えられた。
いえいえ、とても驚いてますよ、と言われたが全然そうは見えない……。
「条件ですか?」
「ええ。まずは住み込み限定。そして身寄りの無い者限定。最後にベテラン限定。
これくらいを最低条件にしましょう」
「何故です?」
「なかなか帰れない場所ですので。それに秘密を話されても困りますし。
身寄りの無い者でないと、捜索される可能性があります。
それに未知の所ですので、ベテランでないと無理だと思います」
「なるほど。ではそれでお願いします」
「それと冒険者を雇う必要もあります」
「冒険者?」
「護衛ですね」
「護衛? 獣は出ませんよ? 盗賊も居ないですし」
「護衛というのは、雇う上での名目ですね。正確にはダンジョン攻略です」
「ダンジョン? あっ、食料か!」
「そうです。補給出来る者がいないといけませんので。
冒険者にも先ほどと同じ条件をつけましょう」
こうして冒険者夫婦1組、老夫婦の執事メイド1組、孤児院出身のメイド3人を雇った。
老夫婦の旦那さんに、島での全ての仕切りを任せる事にした。
その上にヒタキさんが居るんだけどね。
言うならば、村長さんのようなものかな。ヒタキさんが代官で、俺が領主?
その人はロッカさんというそうな。
物腰の柔らかい優しそうな人だ。奥さんとは職場結婚なんだってさ。
年だから、隠居してのんびり暮らそうと思って退職したんだって。
でも、趣味も無かったんで退職したらヒマになったらしい。
そこをヒタキさんが話をして連れてきた。
うん、島ならのんびり仕事出来るね。
冒険者夫婦も似た様な感じ。
引退したいけど、収入がゼロになるからって困ってたらしい。
それをヒタキさんが捕まえてきた。
ヒタキさんの情報網はどうなってるのだろうか……?




