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教育の成果

あれから10日が経った。

勇者達はやっと島のダンジョンを10階までクリアした。

さすが高校生、元気である。

俺はというと、9階に居るヒポポというカバっぽいモンスターからビールが出ると教えてもらって攻略中だ。

ヒポポのレベルは60。カンダさんもビールにハマり、一緒に集めている。

こんな日々で、誰もがレベル70になる事が出来た。

あっ、ナグラさんは別だよ? 元々72だったしね。


勇者達の勉強も大分終わった。


全員の武器の『技術』はAになったらしい。

教えていたナグラさんも全てAになって喜んでいた。


仲間との連携はカンキジコンビの教えもあって、かなり様になったようだ。

遠距離から弓と魔法で攻撃して、近距離は剣と無手での攻撃。中距離は魔法と槍。

当たり前なんだけど、これが出来ていなかったそうだ。


モンスターを前にすると、吉田君が真っ先に走って行って切りつける。

魔法使いも杖で殴る。無手で殴るし、参謀は指示だけ出して見てるだけ。

こんな戦い方をしてたんだって。


何でそんな戦法なのか聞いたら、ゲームではそうだったと言う。

ゲームはターン制だろ。待ってくれないぞ?

うん、やっとまともになったね……。


魔法については、コタニさんの指導で良くなった。

以前はMPを使いまくって、減ったらポーションで回復してたらしい。

これもゲームでの方法のようだ。

実践ではポーションを飲む時間なんか無いんだけどな。

そういうのも教えてたので、効率的な使い方を覚えたようだ。


で、俺。

加護を持ってないので、運の使い方を教えても意味が無い。

では何を教えたのか。

それは、「生き方」だ。

と言っても、「勇者とは……」って事じゃ無いよ?

なんて言うかな、ほら、対処の仕方とかそういうの。


実際に教えたのは、、、


「冒険者ギルドで世紀末に居そうな、モヒカン頭をした冒険者5人に絡まれました。どうしますか?」

「はい!」

「はい、藤崎さん」

「ボコボコにします!」

「不正解です! 可能かも判らないし、勝ったとしても逆恨みしてきます」

「はい」

「はい、渡辺さん」

「職員さんに言いつける!」

「それも不正解。あいつら情けないなぁと思われてしまいます。冒険者は評判も大事なのでダメです」

「じゃあどうしたらいいんですか?!」

「吉田君よ、それを考えろって言ってるんだってば。正解はいくつかあるんだから」

「はい」

「はい、小嶋さん」

「そもそも、その冒険者達のレベルはいくつなんですか?」

「正解!」

「「「「えっ?」」」」

「まず、情報を集めましょう。強いのか弱いのか、レベルは高いのか低いのか、ランクや信用度など。

 知らなければならない情報は沢山あります。

 すぐには判らないでしょうが、見ただけで判る事もありますよ。

 例えば装備品だったり、ギルド証だったり、周囲の人の目だったり。

 情報は重要ですよ。ギルドランクが一番低い青でも、レベル100かもしれませんよ?

 観察し、それを元に考えるんです」

「「「「なるほど~」」」」

「まぁ、ギルド内で高ランクになってしまえば、関係無くなる事案ですけどね。

 さて、相手はギルドランク黄緑。鑑定した結果、レベルは全員25と判明。

 周囲の目は貴方達に同情的です。職員は見て見ぬ振り。はい、どうしますか?」

「う~ん、難しいです!」

「ヒント! ヒント下さい!」

「まだ、高校生には難しいかな。じゃあ答えです。

 ランクが黄緑って事は下から2番目。レベルも高くない。つまりザコです。

 なのに周囲の目は貴方達に同情している。しかもギルド職員も無視同然。

 これはやっかいな人物との繋がりがある可能性がある事を示唆してます。OK?」

「「「「は、はい」」」」

「という事は、絡まれた時点で、ある程度の覚悟が必要な物件です。

 こういう場合は、取れる方法は2種類。

 1つ、その場はダッシュで逃げて、相手の背後に居る人物よりも上の人間に相談する。王様がベスト!」

「ダヒュテムのですか?!」

「幸い君達は繋がりがあるでしょ? 相談するのが一番! 権力には権力で!

 2つめ。表に出ろと言って、外で皆殺し!」

「「「「何で?!」」」」

「告げ口されないようにです。死人に口なし。後はすぐにその国を出る!」

「……本とかじゃあボコるけど殺さないよ?!」

「あぁ、目立ちたくないとか言いつつチートをバンバン使うやつ?

 先を考えてないからだよ。物語の主人公が先を考えて行動したら盛り上がりの無い物語になっちゃうでしょ?

 波乱の為には主人公はバカの方が楽なんだよ。だからね、バカなの。

 自ら危険に飛び込むようなものなの。だから何かに係わるなら、思いっきり派手にか、コソコソかの2択だ!」

「「「「……」」」」


こんな感じで教育しました。

今では立派な卑怯者になってます(笑)

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