ダンジョン発生秘話
「ダンジョンを作るって、本気ですか?!」
「本気だよ~。それにさ、サイラス国の一件でダンジョンが減ってるから問題無いんだよ」
あぁ、ナグラさんがダンジョンコアを破壊して回ってた件ね。
そういえば、この世界のダンジョンの数は一定だったっけ。
なら、減ってる分を増やすのは問題無いのか?
「あれっ? 島にダンジョン作りましたよね? あれはOKなんですか?」
「あれはカウントしてないから大丈夫。違う世界扱いにしてるから」
違う世界って……。
確かに誰も入れないなら、違う世界とも言えるけどさ。
そんなのをポンと渡すなよ。
「それに心配しなくても、勇者を捕まえる為だけに作るから。
捕まえた後は、コアを破壊して元の国に新しいのを作るよ」
「なら、良いんですけど。で、来たいと思うようなダンジョンってどんなのですか?」
「えっ?」
「えっ?」
「新しいってだけじゃダメなのかい?」
「それだと、いつ来るか判らないじゃないですか。すぐに来たいって思わせるようなのじゃないと」
「すぐに来たいダンジョンか……。考えた事無かったなぁ。なるほど」
「じゃあ、お願いしますね」
「ちょっ! 待った待った!」
「何です?」
「いや、福田君もさ、アイデア出そうよ。丸投げは良くないよ? ね?」
「技術的な事は判らないので、一任したいんですが」
「その辺はこっちでやるから! ほら、人を呼ぶ工夫とか知ってるでしょ?
その辺りを教えて欲しいな。参考にするからさ」
人を呼ぶ工夫ねぇ。
日本の場合だと、何があったかな?
「ダンジョンではなくお店だと考えての発言で良いですか?」
「勿論さ! さあ、何でも言ってよ!」
「では。え~、閉店セールってのはどうです?」
「閉店セール?」
「ええ。後○○日で閉店しますって宣伝するんです。そうすると行ってみようかって気になりませんか?」
「なるほど。でもダンジョンだよ? コアが壊されるのが閉店と言えるけど、何時ってのは判らないよね」
「そうですね。では、逆に開店セールは?」
「○○にオープンしますって事? ゴメン。ダンジョンが出来るのを教えてはいけない決まりなんだ」
「じゃあダメですね。じゃあ店じまいセール……」
「閉店セールと同じだから!」
「……反対ばかりしてないで、そちらからも何かアイデアを下さいよ。創造神なんでしょ?」
「元創造神ね。既存の物を並べて作るだけだったから、新しいのって言われても困るなぁ」
つまりゼロから作ったのではなく、RP○ツクールみたいなのがあって選んで設置しただけか。
そりゃ新しい事なんか閃かないよな。
「でも、神様って言っても、買い物くらいするでしょ?
その時に、行ってみたいって思う宣伝とか見たと思うんですけど?」
「あっ、私は基本ネット通販で買い物するから」
「引きこもりですか……」
「仕事はしてるよ! ただ、家と仕事場の往復しかしてないだけだよ!」
発達した世界ってそんなになるのかな?
怖い話だなぁ……。
その時、足元でヒヨがにゃあと鳴いた。
どうやらお腹が空いたようだ。ご飯には早いので、好物の桃を一かけらあげる。
喜んで食べているが、桃が好きなんて変わった猫だよなぁ。あっ、クロヒョウか。
ん? 良いアイデアが浮かんだぞ!
「ヒヨが良いヒントをくれましたよ!」
「ヒヨ? あぁ、福田君の従魔のクロヒョウね。何、何?」
「好物を置いたら良いんじゃないでしょうか?」
「好物を? ……確かにそこでしか手に入らない好物があるなら、飛んで来そうだね!」
「でしょ?」
「うん。で、何を置くの? ハーレム野郎だから、女でも置く?」
「それはシャレになりませんよ! NGです!」
「じゃあ、何を置くのさ? さすがに好物までは知らないよ?」
「大丈夫です。取り巻きを利用します」
「取り巻き? あのくっついてる女の子を?」
「ええ。スイーツのドロップするダンジョンを作れば良いんですよ!
女性はスイーツに目が無いですから。噂を聞けば必ず来ると思います!」
「良いアイデアだけど、主導権を持ってるのは男じゃないの?」
「3人の女が行きたいと言えば、ああいうヤツは反対しません!
少なくともラノベではそうなってます。決まりです。
女性の我侭を聞く俺、って状況に酔ってます。バカだから来ます!」
「まぁ、そこまで言うのなら……」
この世界初の、スイーツしか出ないダンジョンの誕生だ!




