ヒヨと勉強
翌日、今日も連絡は無い。
俺が待機する時間になったので、昨日の続きをしたいと思う。
「よし。昨日の説明した事を覚えてるか? 復習から始めるぞ。
『ほうれんそう』とは何だ?」
『バターで炒めたり、ゴマであえたら美味しいやつニャ』
「え~と、合ってるが違うぞ。ほら頭文字を集めたやつだよ?」
『放送したら、レンガが壊れたので、掃除する、ニャ!』
「はははは……誰がそれを言ったのかな?」
『ナグラっちニャ』
突っ込み所が多すぎるわ!
正解は「報告・連絡・相談」だろ?!
放送したらレンガが壊れるって、どんなスピーカーだよ?! ボリュームがデカ過ぎるだろ!
それと、ナグラっちって呼ばせてるのか。
「料理を言ったのもナグラさんか?」
『料理はキっちゅんニャ』
「キっちゅん? 誰だ?」
『カンちゃんが2人だけの時にキっちゅんをキっちゅんって呼んでたニャ』
ふむ、その内容から考えると、カンちゃんってのがカンダさんで、キっちゅんってのはキジマさんだろう。
2人だけの時はそんな呼び方をしてるのか……。
今度それで呼んであげよう。
「今の情報は良かった。褒めてあげよう!」
『わーい。嬉しいニャ!』
コリコリと耳の後ろの辺りを掻いてあげる。
ヒヨは目を細めて嬉しそうだ。
是非ともその可愛さ容姿と知能を生かして、色々と情報を仕入れてきてもらいたい。
こんな感じで2日が経過した。
4日目にして、やっと情報が入ってきたのだ!
必死に説明されたが、要約するとこんな感じ。
『聖王国のアチコチに出没してダンジョンを探索しているが、宿泊はどこでしているのか不明』
これについては不思議ではない。
『コネクト』を使って夜になったら帰ってるのだろう。
俺と同じだ。
ダンジョンを探索してるのは、レベルアップの為だと思う。
レベルも上げずに『チート持ちだから!』と勘違いして、さっさと魔王の元に行ってくれたら良かったのだが。
さて、こうなると捕まえるのは容易ではない。
どこのダンジョンに現れるのか不明だからだ。
出来ればナグラさんの時の様に、ダンジョン内に罠を仕掛けて捕まえたいのだが。
現れるダンジョンさえ判明すればなぁ……。
とにかく、判明した情報を閻魔様に伝えて、指示を貰おう。
他の人間なら運を使って偶然遭遇する事が出来ると思うが、あいつらには無理だし。
って事で、イイクラさんにテレビ電話だ。
「はいはーい、ルーシーですよー!」
「……あの~、イイクラさんに連絡したんですけど」
「ここは特設本部でね。イイクラと私が常駐してるんだ。
今、イイクラはトイレに行ってるから、代わりに出たんだよ」
「そうですか。えっと、新たな情報が入りました。
ただ、俺では対処が難しいので、どうすれば良いか聞こうと思いまして」
「ほうほう。どんな状況?」
「色々なダンジョンをウロウロしてるようなんですけど、定まってないんですよね。
だから、場所が特定できなくて捕まえられないんですよ」
「相手の移動方法は?」
「多分、俺と同じ『コネクト』を使ってるんじゃないかなと」
「いや、上級の魔法を知っている事は無いよ。ノートルダムにも現れてないそうだし」
「そうですか? じゃあどうやってるんだろう?」
「多分、あのバカ神が、私が福田君に渡した『マーカー』のような物を渡したのだと思う」
「あぁ、なるほど。そういうのもありますね」
バカでも一応神なのだから、それくらい作れるのだろう。
しかしそうなると魔法じゃないから、阻害する事も出来ないのか……。
「現れるダンジョンさえ特定できれば、何とかなるとは思っているんですけどねぇ」
「ふむふむ。なるほど。じゃあ、特定させよう」
「えっ? どうやって特定させるんです?」
「おびき寄せるのさ」
「そのダンジョンに来たくなるようにするって事ですね? でもどうやって?」
「新しいダンジョンを造ろう!!」
「はぁ?!」
相談相手を間違えたかもしれない……。




