報酬は
俺の「お金ください」宣言に、神様達は苦笑してる。
そりゃ世界が作れるような存在相手に、お金くれはアホな要求だからな。
さすがにそれではダメだと思ったのか、閻魔様が口を開いた。
「え~と、福田君。お金ならいくらでもあげるからね?
他に、何か無いのかな? ほら、さっきの話じゃないけどさ、チートが欲しいとか無い?」
「す、すみません……。
チートですか? う~ん、別に必要無いですね」
「あっ、そうだ。運を増やそうか?」
「いやいや! 運って死んだら返却でしょ?!
増やされても返す時に減ってたら最悪じゃないですか!」
「うん、まあ、そうだけど……。死んだ時の事まで考えなくて良くない?」
「死んだ後の事を知ってるんですから、大事ですよ?
あぁ、そうだ。確かカルマってありましたよね?」
「カルマ? あぁ、あるよ。それが?」
「死んだ時に清算しますよね? あれを0にしてもらえます?」
「いや、それはダメだ」
「無理ですか~。それが1番良いと思ったのですけど」
カルマがマイナスだと、大変な事になるはず。
なので、最低でも0になってれば、次の人生は少なくとも平穏にはなると思ったのだが。
「福田君、勘違いしているようだから言うぞ? 無理なのではない」
「えっ? どういう事ですか?」
「もったいないという意味でダメだと言ったのだ」
「もったいない?」
「福田君は我々に協力している。
そういう行為をした場合、カルマが通常では考えられないほど増えるのだ。
逆に我々の邪魔をした場合は、驚くほどマイナスになるのだがね」
「そういうものなんですか。では……」
「そうだ。う~ん、まあ協力者だし言っても良いだろう。
今、福田君のカルマは+20になっている」
「+20!!」
「多分だが、今回の件で+40くらいになるんじゃないか?
これを0にするってもったいないだろ?」
「先ほどのは無しでお願いします!!」
自ら地獄に向かうような提案をしてしまってたのか……。
知らないって危険だな。
しかし、こうなると何を要求したら良いのか。
あっ、そうだ!
「あの~、最近船を買ったんですけど、あれを調べてもらえませんか?」
「船? おい、イイクラ君」
「はい。少々お待ちください。……あぁ、確かに買われてますね。
これが何か?」
「何か事故物件だからって安く買えたのですよ。何かありますかね?
例えば呪いとか霊が出るとか」
「いえ、そのような事は一切ありませんね。
最初は密輸に使ったようですが、海上で発見されて全員逮捕されています」
「やっぱりそうでしたか」
予想通り、何の問題も無いようだ。
神様の調べだ。間違いは無い。
それにしても密輸に使う為に買ったのかよ。で、全員逮捕。
そりゃ誰も帰って来ないよな。
「納得しました。ありがとうございます」
「うん。……えっ? 終わり?!」
「ええ、なかなか良い報酬でした」
「いやいや! こんなの報酬にならないから!」
「では私から!」
「どうしたルシファー。何か考えが?」
「ええ。福田君のその船を強化しましょう!」
「ほう。例えば?」
「島と同じレベルにしましょう!」
「良し、そうしよう」
「いえいえいえいえ! 待って下さい!」
「では福田君の報酬は、お金・船の強化・HPとMPの増、とする」
「何か増えてるし!」
「後は誰か思いついたら追加するように。以上!」
「まだ増やす気だし!」
「では解散! あっ、“勇者”は聖王国ダヒュテムに居るから。向かってくれたまえ」
「ちょ、待てよ!」
あっと言う間に元のトイレに戻された……。




