詳細を聞きます
「ここまで話して、何か聞きたい事はあるかい?」
「そうですね……対象の人相や性格とか知りたいですね」
「それなら、このUSBに入れてあるから、タブレットで確認して欲しい」
人相はともかく、性格は重要だからね。
内面を攻めなきゃだめ! 内面が重視!
何故なら、多分だけど直接的には運が効かないはずだから。
ただ、間接的には作用する。
これはナグラさんで確認済み。
だから別に、ハーレム野郎だから、チクチクと内面を攻めてやろうと考えているわけではない。
「他に聞きたい事は?」
「“設定”は判りましたけど、もう少し詳しく聞きたいですね。
細かい部分も知りたいです」
「そうだね。では……
“勇者”を召還したのは聖王国ダヒュテムとなっている。
ラノベの設定を守って、王女が召還したよ。
で、『森に居る魔王が人類を滅ぼそうとしています。勇者様、どうかお助けください!』って言った。
すると『僕に出来るなら……判りました! やります!』とあっけなく答えたらしいよ」
さすが! 最適な人選をしただけはあるな。
見事なアホっぷりだ!
「魔王を倒せば帰る事が出来ます、とか言ってたらしい。
ムチャクチャな話だよね」
「ダヒュテムはその“勇者”とは会っているんですか?」
「召還の時に、会っているよ。
えっと、確か『私の創造した世界に危機が迫っています。その世界の人達に頼まれ、貴方達を選びました』ってさ。
自分で作った世界に危機が訪れたんなら、自分でなんとか出来るだろって思うけどね」
「まぁそうですけど……。それで?」
「その後は、どうだったかな? ああ、そうそう、こうだ。
『貴方達には勇者としての能力がありますが、それだけでは魔王は倒せないかもしれません。
そこで、私の加護を与えたいと思います。』って言ってた」
「加護を与えて勝てるなら、人類全てに加護を与えたら勝てるんじゃないですか?」
「当然そうだよ。冒険譚のように少人数で行く必要はどこにも無いんだから。
全人類で一斉に攻撃したら、簡単に勝てるだろうね」
まぁ、アホ神からすれば、チートを与えたって事なんだろうな。
そりゃ“勇者”も調子に乗るだろ。
異世界+勇者+チート+ハーレムだよ?
しかも国のお墨付き。調子に乗って、ブタが木に登るどころか空飛ぶわ。
「何か、色々と破綻してる気がしますが」
「まぁそうだろうね。大まかなシナリオは作ったけど、勇者候補を探すのに時間を使ったみたいだから」
ある意味被害者なんだけど、同情出来ないんだよな~。
大体、最近のラノベでは、召還されたら疑う、ってのが定番になってきてるのに。
高校生には無理か。あれっ? 高校生だったっけ?
「えっと、年は?」
「あぁ、勿論、高校生だよ。
詳しくはタブレットを見たら判るけど、高校2年生。
弱い者イジメは許さないってタイプ。空手3段だったかな? 当然イケメンさ」
すげぇな。よく見つけたよな。
って、だから、その能力を仕事で使えよ!
「他に聞きたい事は?」
「じゃあ、最後に。報酬は?」
「……そこを言うとは、さすが福田君だね。
希望は無いかな? 無いなら島を拡張……」
「ちょっと待って下さい!!」
危ない! 大変な事になる所だった!
島を拡張? 大陸になるんじゃないか?
そうなったら別荘地って感じじゃ無くなるぞ、国になるわ!
え~と、何か報酬は無いか?
早く決めないと島拡張計画が始まってしまう!
くそっ! 希望が通るなら考えてから聞けば良かった!
う~ん、報酬、報酬、報酬……。
「えっと、お金下さい!」
一生懸命考えて出た回答は、非常に俗物的な物だった……。




