緊急事態!
呼び出された場所は、どこかの会議室だった。
座った状態だったが、ちゃんと椅子に転移してくれてたので助かった。
周りを見ると、イイクラさん・閻魔様・ルシファーさん、そしてアサイさんと知らない人が1人。
「アサイさん、今度は何をしたんですか?」
「私じゃないわよ!」
違うのか。じゃあもう1人の知らない人が関係してるのか?
チラリとその人を見ると、目が合った。
「どうも、福田君。私を知ってるかね?」
「え~と、すみません。判りません」
「そうか……ではヒントを出そう。良いかね?」
「は、はぁ。良いですけど……」
「では。
『ヨシ○コー、ヨ○ヒコー』。これでどうだい?」
「えっ?! もしかして佐藤○朗さんですか?!」
「違うよ! なんで俳優さんを言うかな!」
「じゃあ、仏様なんですか?!」
「正解! まさかこれで判るとは思わなかったけどね」
「おいおい、君達、緊急事態だぞ?! のんきに話をしている場合ではない!」
まさかの地球の仏様でした!
なんというヒントの出し方をするんだ! マニアック過ぎるぞ!
そのせいで閻魔様に怒られたじゃないか。
「まず、福田君。結果から言おう。
誘拐事件が起きた。」
「えっ?! またですか?! あれは解決したのでは?!」
「あぁ。ナグラさんの時の事だろ? あれは解決済みだ」
「じゃあどこの国が?!」
「今回は国は係わってはいない。正確に言えば、係わらされたと言うべきかな」
「え~と、判りません
「まあ。そこはおいおいな。それよりも福田君に頼みがある」
「攫われた人を助けるんですよね? 2回目ですから、判りますよ」
「君に頼むのは心苦しいが……すまんが頼む」
「それはしょうがないと思います。でも詳しく説明してくださいよ」
「説明は私から」
ルシファーさんが名乗り出た。
……なんかやつれてないですか?
目の下にもクマが出来てますよ? 寝てないんですか?
「説明の前に質問です。
福田君。君はラノベを知ってますか?」
「はい? いや、知ってますけど」
「読んだ事ありますか?」
「結構好きだったので、読んでましたよ?」
「そうですか……」
なんだなんだ? ラノベを読んではいけないのか?
「君はこの世界に来てから、ラノベの事を話したり考えたりしましたか?」
「えっ? はぁ、たまになら。
だって、異世界ですから。ラノベの定番の世界ですんで」
「確信が持てました。では説明しましょうか」
何の関係があるのだろうか?
「この世界はある創造神が作り上げたと前に言いましたよね? 覚えてますか?」
「はい。なんか手抜きばかりしてて降格させられたとか」
「そうです。その創造神はダヒュテムと言います」
ダヒュテム? なんか聞いた事あるな?
あっ! ギャンブル大会に参加してた国!
「もしかして、聖王国ダヒュテムって!」
「そうです。それを神として崇めている国です。
あのバカは神として、この世界の人の前に立ちやがったのですよ!」
「良いんですか?」
「当然ダメです。なのにあのバカは光臨したあげく、信者には加護をポンポンと与えたのです!」
「それも……」
「当然NGですよ! それがきっかけで、イイクラ君と同じ役職にまで落とされたんですが」
うわぁ。ダメ人間だ。いや、ダメ神だ。
何やってんだよ、そいつ。
「今は違う世界を担当してるのですが、どこかから福田君のうわさを聞いたらしいのです。
福田君はアサイやイイクラ君、閻魔様とも懇意だと。
その福田君が自分が作った世界に居ると聞いて、すごく興味を持ったようです。
福田君を覗き見ていた形跡がありました」
おい! 俺のプライバシー侵害だぞ!
「そこでラノベの事を知ったのでしょう。
今度は地球にこっそりと行って、ラノベを買い集めてきました」
ここでラノベが出るのか!
俺のせいなのか?! 違うよね! 覗いてたやつが悪いよね!




