武士
何言ってんの?って顔をしてるな。
まぁそうだよな。島なんか、当然どこかの領土だもん。
国の領土をプレゼントするなんて、普通じゃありえない話だ。
「お前、沿岸沿いの国の王族にでもなったのか?」
「なる訳ないじゃん。それに俺の知ってる海のある国って、コルラド国かセキハイムだけだぞ?」
「その二国には島は無いな……」
「だろ? まぁ、そこは流せ。気にするな」
「ムムム、まぁ良いだろう。で?」
「そこには完全結界が張ってある。許可無しでは誰も入れないし、魔法も攻撃も受けない」
「……か、か、完全結界だと?!」
「おう」
「そそそそそそそそそんな物がある訳無いだろ?!」
「いやぁ、あるんだなぁ。これが」
「バカなーーーーーーーー!!」
さすが、魔法に精通してるだけはある。
どれだけアホな物なのか、判るようだ。
ムチャクチャ混乱してるな。立ったり座ったり、大声出したりブツブツ言ったり。
とりあえず、落ち着くまで待ってみる。
あ~お茶が美味い。
「……見せろ」
「ん? 何か言った?」
「俺に見せろー! いや、見せてくれ! 見せてください! おねげぇしますだ、お代官様!!」
「誰がお代官様だ!」
あまりの事に、人格崩壊したか?
王様が土下座とか止めてくれ!
「判ったから土下座は止めろよ」
「見せてくれるまで止めませぬ!」
いつから武士になった?
お前の前世は江戸時代の武士なのか?
「カジノの町の俺の家にマーカーを設置してる。そこからなら行けるから」
「マーカー?」
「完全結界だから『コネクト』もレジストするんだよ。島に行く唯一の手段がマーカーなの」
「ではカジノの町に行かなければ、島に行く事は出来ないと……?」
「そうだね」
「では、この部屋に『門のシール』をお貼りくだされ」
「いやいや、ホウズキさんの家に貼ってあるから。そこからで良いでしょ?」
「拙者、王なので、簡単に城を離れる事が出来ませぬ。お許しを」
「……その前に、その口調を止めない?」
いつまで武士キャラで行くんだよ。
もう良いよ。お腹一杯です。
「この部屋に『門のシール』を! なにとぞ! なにとぞー!!」
「判った、判ったから! だからその言葉は止めようね! 後、土下座も止めようね!」
「かたじけないでござる!!」
諦めて、ココに『門のシール』を設置した。
王の私室って『門のシール』を貼ってはいけない場所No1だと思うんだが。
それで思った事があるので、聞いてみる。
「『コネクト』って国で禁止と言うか監視されてるんだよね?」
「そうでござる」
「……じゃあ国は使わないの?」
「いえ、使用しているでござる」
「例えば?」
「砦に行く場合や、他国に非公式に行く場合などでござる」
「他国に行くの?」
「王城同士が繋げてあるのでござる」
「それって危険じゃない? 攻めようと思ったら、好きな時に行けるよ?」
「『門のシール』が貼ってある場所は、内側から開けられない扉になっているんでござる。
しかも必ず城の離れた場所に設置されており、頑丈に作られているのでござる。
扉も狭く作られており、一度に1人しか通れない造りになっているのでござる。
常に近衛兵が常駐しており、厳しく見張られているのでござる」
なるほどね。攻め込もうにも扉から1人しか出られないならダメだな。
突破するにはムカイ団長クラスじゃないと無理か。
その前に扉が開けれないなら不可能に近いね。
「へ~、そうなんだ……ってだから、その言葉使いは止めろって!」
「見るまでは止めませぬ!」
諦めて、家まで繋げたよ……。




