福田君、船を買う
聞いた港へ行ってみると、岸壁沿いに船がズラリと並んでいた。
中にはその船で商売している人も居る。あれは魚を売ってるのかな?
船の上で釣りをしてる人も居れば、マットを引いて寝てる人も居る。
いいねぇ。こういうの憧れるよね!
何か自由人って感じで!
日本なら免許とか税金とか色々ありそうなので無理だけど、ここなら出来る!
良し、買おう。
話を聞いた漁業ギルドに向かう。
カンダさんとコタニさんは馬車の様子を見に行った。
レイの食事もあるしね。
馬車に設置してるアイテムボックスに食料を入れてあるので自由に食べてもらってるけど、補充は必要だから。
キジマさんが受付に行き、話をする。
「おや、貴方は朝に来た……」
「はい。検討した結果、港に住むという事になりましたので」
「了解しました。船はお持ちですか?」
「いえ」
「では買われるのですね。どのタイプが良いですか?」
「買われるのはこちらの方です」
「あっ、どうも。福田と言います」
「どうもよろしくお願いします。で、どのタイプが良いですか?」
「えっと、全然知らないので説明をお願いしても良いですか?」
「了解しました」
パンフレットを出してセールストークが始まってしまった。
まぁ高い買い物だし、しっかりと聞いておいた。
Aタイプ。
最大6人乗り。動力手動。
部屋数1。トイレ・風呂無し。
Bタイプ。
最大8人乗り。動力手動。
部屋数1。トイレ・風呂無し。
Cタイプ。
最大6人乗り。動力手動。
部屋数2。トイレあり。風呂無し。
Dタイプ。
最大6人乗り。動力魔石。
部屋数1。トイレ・風呂無し。
Eタイプ。
最大8人乗り。動力魔石。
部屋数1。トイレ・風呂無し。
Fタイプ。
最大6人乗り。動力魔石。
部屋数2。トイレあり。風呂無し。
Gタイプ。
最大8人乗り。動力魔石。
部屋数2。トイレ・風呂・キッチン完備。
Aが一番安くて、Gが高額。
そりゃそうだよな。見りゃ判る。
まず動力が手動か魔石か。
手動はオールで漕ぐか帆を張って風に頼る。
魔石ってのは、水の魔石を使って推進力を生み出して進むそうだ。
当然魔石タイプが欲しい。
そうなるとD以降になるなぁ。
ちなみにGタイプの中でも一番安い物で5000万。
持ってるお金が無くなります。
でもなぁ、Fを買うくらいならGだよなぁ。
ちょっとズルいけど、運を使うしかないかな?
俺は『Gタイプを安く買えないかな?』と心の中で願った。
すると受付の人から提案が。
「そうそう、中古もありますよ? 見ますか?」
「是非お願いします!」
運のお陰か、中古を紹介してくれるようになった。
中古のカタログにもA~Gが載っている。
その中で、Gタイプで製造年月日も最近なのに凄い安い物が!
価格は10分の1の650万円! 新品だと6500万もするやつだ!
部屋が3部屋になっている。
これ、良いじゃない! 何で安いんだろ?
「これ、良いですね!」
「……あぁ、これですか……」
「あれっ? 暗いですね? どうしました?」
「これ、事故物件なんですよ……」
事故物件って何?




