決着!
なんとか追っ手から逃げ切る事は出来たが、問題は山積みである。
まず、家を探す為に城に行く事を公言してしまった。
城の前で待ち構えて居る事は当然だろう。
次に相手が警察だという事。
手配や捜索はお手の物。泊まってる赤木亭までやってくる可能性がある。
最後に仲間達。
俺と同等と考える者も居るだろう。
きっと巻き込まれるに違いない。
別に犯罪を犯した訳でも無いのに、何故警察から逃げなければならないのか……。
非常に悩ましい事だが、打開策を練らなければこの町に居られなくなる。
一番確実なのは、警察よりも偉い人に助けを求める事だ。
この場合は警察署長とか王族だろう。
どっちにも伝手は無いけど……。
いや、王族ならなんとかなるか?
他国だけど王族には伝手がある。
その人達から紹介してもらえば良いんじゃないだろうか?
ん? 待てよ?
それで思い出したが、俺って一応外交官扱いじゃなかったっけ?
慌てて持っている書状を出して確認する。
おおっ! ちゃんとニーベル国の外交官って事になってるぞ!
って事は、一応所属はニーベル国って事だ。
それに落ち着いて考えれば、ここは王都。ニーベル国の大使館くらいあるんじゃないか?
良し! 探しに行こう!
場所は警察にでも聞けば良いか! ってその警察が問題なんだよ!
しょうがない……ケリを付けに行くか。
屋根から降りて、再度警察署に入る。
中にはあの時の受付の女性を中心に対策本部が設置されていた……。
警官達は俺を発見して、ザワめいている。
「フフフ、観念して自首してきましたか。褒めてあげましょう」
「何で犯罪者扱いなんだよ! 何も悪い事してないよ!」
「警察の勧誘を退けて逃げるとは、ほぼ犯罪でしょう?」
「違うわ! どこの悪の組織なんだよ?!」
なんと恐ろしい所だ。
某変態の国と変わりが無いんじゃないか?
そんな会話をしてる間に、俺は警官に取り囲まれていた。
「さぁ、観念して警官になるのです。今なら巡査部長から始められますから」
「ならないって! それに残念だったね。これを見ろ!」
そう言って書状を受付の女性に渡す。
受付の女性はそれを読むと絶望した表情になった。
「な、なに?! が、外交官だと……?! なんという事だ……。
これでは逮捕も出来ないじゃないか……。
牢屋の中でゆっくりと洗脳、いや説得する予定だったのに……」
それを聞いた全ての警官が膝から崩れ落ちた。
おい、今、洗脳って言ったよな?
なんなんだ、ここの警察は。怪しい宗教なんじゃないか?
「くっ……今回は諦めますよ。
しかし! いずれ第二、第三の警察が貴方に迫るでしょう……」
「どこのラスボスだよ!」
「ふっ、私には見えるのだ。再び何者かが警察から現れよう……」
「だから、どこのラスボスだよ!」
と、とにかくこれで解放されたようだ。
アホな事件だったぜ。
……城でもこんな事起きないよな?




