不動産
皆誰もが島に興味を持っていたが、島よりも拠点が先。
多分だけど、ここに最大で2ヶ月は居るはずだ。
あの馬車で、ノートルダムに入るのに5日はかかるだろ?
ノートルダムを抜けるのにも10日くらいはかかると思う。
地図で見たけど、セキハイムは広いので海に近くにある王都までは20日くらい掛かると思う。
合計で35日。で、大会が1週間だとしても計42日。
こんな長い時間を、この食堂の2階で過ごす訳にはいかないだろ?
昼手伝うだけで2ヶ月も居るなんて、ずうずうしいにも程がある。
それに拠点を作ったら、そこから島に行けば良いじゃないか。
まぁ、島に行った所で、別にする事は無いけどさ。
って事で、今日は不動産を回りたい。
だが、不動産ってどこ? 不動産屋ってあるの?
困った時のギルド頼み。うん、ギルドに行ってみよう。
多分だけどさ、バトラーギルドがあると思うんだ。
で、そこには不動産部門があると予想してる。
早速、店長のユカワさんに聞いてみた。
「すみません。ギルドに行きたいんですけど、どこにありますかね?」
「ん? 漁業ギルドなら、船着場にあったろ?」
ああ、馬車を預かってくれてる所か。
国境だけでなく、漁業ギルドも入ってたのね。
でも、別に漁業をする訳じゃないからな。
「いえ、冒険者ギルドとかバトラーギルドとか。その辺はどこにありますか?」
「バトラーギルドってのは知らないなぁ。無いんじゃねぇか?
冒険者ギルドってのは、漁業ギルドの前の道を東にまっすぐ進んだら在るぜ。
確か白い建物で赤い屋根だったな。多分看板が出てると思うぜ」
「ありがとうございます。行ってみます」
「おう。その通りには警察もあるから、判らなきゃそこで聞いてみな」
警察もあるのか。いや、当然だよね。
そこに行ってバトラーギルドを聞いてみるのも良いかな。
いや、素直に不動産屋を聞けば良いのか。
「ねえ。バラバラで行けば良いんじゃない?
そうすれば早く発見出来ると思うけど?」
なるほど。人海戦術か。それでいこう。
ナグラさんとキジマさん、俺とカンダさんとコタニさんに別れて探す事にした。
カンキジを分けたのは、どちらにも大人が入るようにだ。
ナグラさん達には漁業ギルドに行ってもらう。
もしかしたら不動産もしてるかもしれないから。
ついでに馬車預かりの延長と支払いをしてきてもらう。
俺達は冒険者ギルドに向かう。
途中で俺だけ別れて警察署に行くつもりだ。
警察に行くだけなので、護衛は不要だし。
で、判っても判らなくても昼前には戻ってくる事に決めておいた。
不動産があっても物件は皆で見たいからね。
それに昼の手伝いもあるし。
ユカワさんは明日からで良いって行ったけど、申し訳ないので手伝うって話し合ったんだよね。
まぁ、良い物件があればお言葉に甘えて物件を見に行くつもりだけど。
売れたら困るから。
一度大通りに出てから二手に別れた。
俺達は東、ナグラさん達は西へ。
少し歩くと、門の前で兵士のような人が立っている。
どうやらここが警察署のようだ。
カンダさん達と別れ、俺は警察署の中に進んだ。




