表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
483/949

おすそ分け

その日の夜、王都の家に戻った俺はヒタキさんにトビタチウオを渡した。

ニーベル国ではなかなか手に入らない高級食材だそうで、喜ばれた。

そうだよね、この国は海に面してないもん。


夕食は当然トビタチウオばかりとなった。

刺身、煮付け、塩焼き、ムニエル、等々。

そして非常に美味しかった。

白身でありながらパサ付き感も無く、そして驚く事に赤身もあった。

味はサンマが近いかな?


「この魚、買ったの?」

「いや、捕ったんだよ」

「捕った?」


ヤベ、失敗した。

買った事にしておけば良かった。

夕食後、正座で全員に怒られました。

「護衛を使え」「危険な事をするな」「楽しそうな事を一人でしやがって」「安全第一」

何か一人違う怒り方をしてる気がするが。


全員で食べても1箱も減らないので、あちこちにおすそ分けしようと思う。

現在の時刻は20時半なので、明日にしよう。

夕食は19時だったので、俺は1時間も怒られていたのか……。


次の日の朝、まずは8匹ほどをウエダさんの家に持って行く。


「おはよーございまーす」

「あっ! お兄ちゃんだ! おはよー!」

「おはよう。お母さんは居るかい?」

「うん! おかーさーん!」

「はいはい、あら福田さん」


奥さんに魚を入れた袋を渡す。

ヒタキさんに書いてもらったレシピも一緒に。


「わざわざ、ありがとうございます」

「いえ、捕ったのは良いんですけど、大漁過ぎまして。

 他にも配るんで、今日はこれで帰ります」


良し、次は……サガワさんの所に行くか。


カジノの町の家に行き、歩いてサガワさんのホテルへ行く。

相変わらず受付にはツバキさんが居る。

俺を発見するとギョッとした顔をした後、従業員に指示を出した。

そして全従業員が俺の前に整列して一礼する。

いや、そんなの良いので業務に戻ってください。


その中、ツバキさんだけがこちらに来る。


「おはようございます、福田様。本日はどのようなご用件で?」

「いや、まず皆を元に戻してくださいよ。大した用じゃ無いので」

「判りました」


従業員の人達は各々の業務に戻っていった。

これでやっと話が出来るよ。


「魚を大量に仕入れてしまいましてね。サガワさんも含め、こちらで食べてもらおうと思いまして」

「そうですか。ではサガワを呼びましょう」

「いえいえ、良いんですよ。後で渡して下さい。

 で、どこに置けば良いですか?」

「では厨房にお願いします」


厨房で1箱をそのまま渡す。

せっかくなんだから、従業員の人達にも食べてもらいたいからね。


「こ、これは! トビタチウオですか?! しかもこんなに鮮度が良い……」

「サガワさんと従業員の皆さんでどうぞ。あぁ、足りないかな?」

「いえ! 十分ですよ! でも、こんなに良いんですか?!」

「ええ、自分で捕ったので」

「あれ? 先ほど仕入れたと言われたような……」

「じゃあ帰ります! サガワさんにヨロシク!」


危なかったぜ。

それにしても、料理長が驚愕してたな。

やっぱり内陸では高級魚なんだなぁ。


後は城か。

王の私室に行き、部屋にあった適当な大きさの箱に入れて凍らせておいた。

そこら辺にあった紙にメッセージを書いて張っておいたので、誰か気づくだろう。

それまでに部屋が生臭くならなければいいね。


最後にホウズキさんの所に寄って帰ったら、すっかり遅くなってしまった。

10時を回った頃、やっと船に戻った。

窓からは陸が見える。もうすぐ到着のようだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ