VSトビタチウオ
結局、後ろから見て右側が右舷で合っていた。
そこには船員が沢山居て、手には盾と剣を持っている。
つまり、盾に刺さらせてから、剣で倒すという方法なんだと思う。
ついでなので、味の落ちない確保の仕方を聞く。
「味の落ちない確保の仕方?! 変な事を聞くなぁ。
まぁ一番良いのは羽根だけを切り落とす事だな。そうすればもう飛べないからな。
後はそのまま氷水にでもつけて置けば良いんじゃないか?」
なるほど。納得だ。
首を落とすなどすれば、鮮度が落ちるという事か。
傷物にすれば売値も下がるだろうし。
まぁ売らないけどね。
という事は、
1.飛んできたトビタチウオを避ける
2.羽根だけを切り落とす
3.落ちたトビタチウオを捕まえてマジックボックスに入れる
この手順で良いだろう。
あれ? 生き物をそのままマジックボックスに入れる事が出来るんだっけ?
うん、その時に検証しよう。出来ないなら氷水だ。
海を見ると、遠くに水しぶきが上がってるのが判った。
アレがトビタチウオの魚群なんだろうか。
確かにコチラに向かってきているように見える。
そして10分後、トビタチウオの進路とこの船の針路が重なった。
戦闘開始だ。
最初に飛んできたトビタチウオを船員が盾で受ける。
結構な勢いのようで、船員は少しよろめいていた。
トビタチウオはその盾に刺さっていた。
トビタチウオ、地球に居たトビウオと似てる。
胸ビレが発達して羽根のようになっている。
飛ぶというより滑空と言った方が合ってると思う。
飛ぶ速度は判らないが、ピッチングマシーンよりは早い気がする。100kmくらい?
トビウオを違う点は、口というか顔の先が尖ってる事だ。
俺の持ってるレイピアの先みたい。
その長さは20cmくらい。
これ、太刀と言うよりもレイピアだろ。
トビレイピアウオ。うん、言いにくい。トビタチウオでいいや。
その部分は非常に硬いのだろう。盾に刺さるくらいだもん。
これを人間が受ければ、当たり所が悪ければ即死だろう。怖っ!
落ち着いてやれば難なく避ける事は出来るんだが……。
問題は数。バカみたいに飛んでくる。
水面が魚影で埋まってると言えば判るだろうか?
油断してると簡単に刺さりそうだ。
安全策として『俺には一匹づつ飛んできますように』と願っておいた。
そのお陰か、一匹づつしか飛んでこない。ありがたい事だ。
飛んできたトビタチウオを右に避ける。
そして剣を一閃。
日本に居た頃なら無理な事だが、レベルが上がってるからか羽根だけを切る事が出来た。
片方の羽根を失ったトビタチウオはその場に落ちて、ピチピチと跳ねてる。
よし! 成功だ!
さぁ、ドンドン来い! あっ、一匹づつね。
トビタチウオの脅威が去った時には、俺の足元に片羽根の無いトビタチウオが沢山跳ねていた。
大量です。いや大漁というべきか。
早速一匹を捕まえてマジックボックスに収納してみる。
が、入る事は無く、俺の手の中に残ったままだった。
しょうがないので、船員から木箱を貰いその中に入れる。
次に箱に『コールド』の魔法を使う。冷水を出す魔法だ。
最後に『フリーズ』を使う。水を凍らせる魔法だが、やりすぎると全部氷になるので、半分でやめておいた。
少し経つと、入れたトビタチウオが動かなくなったので木箱ごとマジックボックスに収納してみる。
すると簡単に入れる事が出来た。
死んだから入ったのか、木箱に入れたから入ったのか……。
ホウズキさんの所で実験してみるかな~。
木箱は全部で3箱にもなった。正に大漁!
あっ、ちなみに、船員は一人が重傷、12人か軽傷だったらしい。
全員を『エリアリノベート』で治療しておいた。
オロナ○ン程度の魔法だけど、少しはマシじゃないかな?
船が動かなくなっても困るしね。




