飛び立ち?
航海2日目。
昨日の夜は船の中で寝ようかと思ったのだが、やはり色々と不便で結局家に帰った。
不便さも旅の醍醐味なのかも知れないが、便利に慣れてしまった。
うん、『コネクト』は確かに規制すべき魔法だな。
ダメ人間製造機だわ。
デッキでボーっと海を見てたら、カンカンカンと激しく鐘が鳴った。
危険の合図だ。
これは船室に置いてあった小冊子に書いてあったので知っている。
しかし海の上で危険とは?
嵐が来るくらいしか思いつかないが、よく晴れているので違うだろう。
それに走っている船員が何故か笑っている。
危険じゃ無いのかよ?
そう思ったので、退避してくださいと叫んでる船員に聞いてみた。
「今、危険の合図がしましたけど、何が危険なんですか?」
「危険な魚が迫っているのです。船室に退避してください」
危険な魚と来た。
ジョーズとかか? でもアレが来ても船に乗ってれば安全だろ?
あっ、ラノベで海の上と言えばアレか!
タコとかイカとかのデカいヤツ! クラーケンとか!
あれっ? でも魚って言ったよね。さすがに軟体動物を魚とは言わないだろ?
「え~、知らないんですけど、教えてもらえますか?」
「いや、退避してくださいよ」
「自分は冒険者なので、ある程度なら自分の身を守りますよ」
「……それならまぁ良いですけどね。説明したら退避してくださいよ?」
「判りました」
「トビタチウオですよ」
トビタチウオ?
トビウオなのか? タチウオなのか?
「えっとどんな魚なんですか?」
「魚なのに、羽根を広げて飛んでくるんですよ。
口が尖っていて、刺さるので危険なのです」
なるほど。
簡単に言えば弓矢が飛んでくるような感じか。
確かに危険だね。
「危険なのは判りました。
しかし少し嬉しそうなのは何故です?」
「実は……内緒にしてくださいよ?
このトビタチウオなんですが、高級魚なんですよ。
飛ぶせいか、身が引き締まっていて非常に美味しいのです。
倒した魚は自分の物に出来るという決まりがありますので、船員は張り切るのです」
「そういう事ですか。確かに内緒の方が良いですね。
乗客の中には『不謹慎な!』って怒りそうな人がいそうだ」
「そういう事です。倒した魚はどうせ処分するのだから……と言ってもダメですよね」
「まぁ、言い訳に聞こえますよね」
「お願いしますよ? 言いふらさないで下さいよ?」
わざわざ言って回る気は無いよ。
ただ、美味しいってのは気になるね。
「じゃあ、口止め代わりにさ、討伐に参加させてもらえないかな?」
「……危険ですって言いましたよね?」
「大丈夫だよ。ほら」
俺は冒険者の資格証を服の中から出して見せる。
「赤色ですか。……判りました。許可しましょう。
その代わり自己責任ですよ? 船長には私から伝えます」
「あっ、それなら福田って言ってもらえば、通じますよ」
「?? はい、判りました。 では右舷に行ってください」
「了解です」
了解ですって言ったけど、右舷って何処?
右って漢字が入ってるから右側なんだろうけど、後ろから見て右? 前から見て右?
まぁ、人の居る所へ行けば良いか。
後さ、カンダさん達はどうしよう? 避難してるみたいなんだけど。
いっか、後で話せば。
この小説のMAPや人物紹介を載せる小説(?)を作りました。
まだ、MAPしか載せてませんけど…。
http://ncode.syosetu.com/n9230dn/




