堕天使
俺は一応閻魔様にお伺いを立てる。
「え~と、アレ、良いんですか?」
「色々抑制されてるからな。まぁ、それくらいなら良いだろう」
「……そ、そうですか」
良いんだ……。
って事で島を貰う事になってしまった。
一国一城の主か。
「さて、話は終わったな。最後だが、本当にありがとう」
「いえいえ、言われる程の事はしてませんよ」
「それでもまともになったのだ。礼は言わせてもらう」
本当に言われる程の事をしてないんだよなぁ。
ヒタキさんとムカイ団長が貰うべきなんじゃないだろうか?
うわ、そう考えたら何か罪悪感が……。
「では、向こうに帰そう。また会おう、福田君よ」
そう言われてから、あっという間に街道に戻された。
連れて行かれる時も戻す時も唐突だよなぁ。
皆はナグラさん以外はまだ固まってる。
いい加減戻ってきてもらいたい。
俺じゃ馬車を動かせないよ?
結局皆が正気になるまで1時間もかかった。
俺はその間にレイの協力を得て、何とか馬車を動かして街道の縁に寄せただけ。
戻ったら戻ったで、質問攻めな訳だが。
「あれは本当に神様なのですか?!」
「うん、そうだね」
「じゃあ、ICPOってのも……」
「そう、神様とか天使とか。そういう人達がやってるね」
「ではアサイさんも?!」
「それは違うかもね」
アサイさん=天使。これだけは認めない!
あれは天使ではない! いや、あれこそ堕天使だろう。いや、駄天使か。
「とにかく、進もうよ! ここに居てもしょうがないでしょ?」
「そうですけど……はぁ、今なら入信してしまいそうです」
「えっ? 宗教ってあるの? 全然聞かなかったけど」
「ありますよ。国自体が宗教なのが」
「へ~。どこにあるの? どんな神様?」
「この国の東隣にある『聖王国ダヒュテム』です。神の名前もダヒュテムですね」
「うん、知らないな」
「知らないんですか? じゃあそんな神は居ないと?!」
「いやいや、俺が知らないだけかも知れないしね? 今度聞いてみるよ」
「いえ、そんな気軽に神様に聞いてみないで下さいよ……」
夕方には何とか町に到着した。
宿屋に泊まらないと、また筋肉変態が来る可能性があるからな。
宿を取って王都の家に帰ると、タルーンさんから連絡があったと告げられた。
今、ヒタキさんを見ると、また罪悪感が……。
逃げるようにタルーンさんの店に移動する。
「福田さん!! 何ですか、あの置き土産は!!」
「すみません……」
「起きてビックリしましたよ!!」
「いや、早く見たいんじゃないかな~と思いまして」
「はぁ……もう良いです。それよりも、アレが沢山あるんですか?」
「えぇ。左右一対として、6対ほど。12本ですね」
「……マジですか」
「はい。マジです。本人から貰ったので間違い無いです」
「本人って……。しかも貰った?!」
「ええ。ミノタウロスから貰いました」
「……もう何も言いません。福田さんはそういう者だと認識しました」
何かヒドい言われような気がする。
無理矢理取ってないからね? 貰ったんだからね?
「では、アレを防具に付ければ良いのですね?」
「ええ。余ったらタルーンさんが貰ってくださいよ」
「あんな高価な物を?!」
「いや、持ってても使い道が無いし……」
「……判りました。多分1週間くらいで完成すると思います。
その時には連絡を差し上げますので、全員で来てください」
「了解しました。よろしくお願いします」
やった! これで、丈夫な防具をGETだぜ!




