踊り
「え~と、上昇率増加ってのは……」
今後、レベルが上がりやすくなるそうだ。
ついでに『技術』も覚えやすくなるらしい。
これをそのまま伝えても良いのだろうか?
ナグラさんはゲームの知識があるからすぐに理解したが、大丈夫かな?
そう思いながらも説明したが、やはり理解されなかった……。
しょうがないので、俺が昔された説明を利用して話す。
「昔、カンダさんが俺に説明したよね。レベルが上がる経緯を。覚えてる?」
「えっ、は、はい」
「その時に『とどめだけ差す方法を取ると、10匹くらい倒さないとレベルが上がらない』って言ったよね?」
「言った……と思います」
「判りやすくいえば、今後は5匹で済むって事だよ」
「あぁ、なるほど?」
「そんな物だと思ってれば大丈夫。どうせ意図的に出来る事じゃないんだから」
「そんなものですか」
これでレベルの説明はOKだろう。
脳筋のカンダさんが理解出来たなら、他の2人も大丈夫だろ?
「後は『技術』だけど……。覚えやすくなるって、どう説明したら良いんだろ?」
「実際にやってみては?」
「それは良いんですけど、教える側の能力も必要ですよね?」
「私が教えてあげましょうか?」
「イイクラさん、出来るんですか?!」
「伊達に“大天使”ではないですよ?」
いや、貴方は中間管理職です。
俺の中ではそう決まってます。天使はそんなに苦労しないと思います。
「では、カンダさんと言いましたね。私の動きを真似してください」
「は、はぁ」
そう言われて、素直に真似するカンダさん。
傍から見ると変な踊りを2人でしてるようにしか見えないんだが、何を教えてるのだろうか?
「そうです、そうです。良いですね。良くなってきました。では剣を持ってやってみましょうか」
「はぁはぁ、そうですか? 判りました」
結構大変なのかな? カンダさんが息切れしてるよ。
あれ? いつの間にかキジマさんまで参加してるわ。
剣を持った事でより一層、怪しい踊りに見える。
見てたらMPでも減らされるのかな?
「はい。OKです。後はこれを早く行うだけですね。
いきなり実践では使わないように。ゆっくり練習してください」
「はぁはぁ……ありがとうございました」
終わったようなので、イイクラさんに近寄り聞いてみる。
「何を教えたのですか?」
「『フェイント』ですよ。今すぐに上がりそうな物を選んでみました。
お二人ともある程度は使われていたようなので。確認してみてください」
そう言われて、2人は自分のステータスを確認してみる。
どうやら本当に『フェイント』が『技術』に入っていたらしく驚いている。
「このように素質のある物はすぐに取得出来るようになるのが『上昇率増加』です」
「り、理解出来ました」
「恐ろしい力ですね……」
キジマさんの言う通り、確かに恐ろしい力だ。
やる気になれば、すぐに沢山の『技術』を手に入れる事が出来るのだから。
日本で言うなら、色々な資格を簡単に取れるようなものだ。
資格コレクターだね。違うか。
「これで残りの報酬はルシファーに会うだけですね。早速呼びましょうか」
マジか! 今かよ!
何も考えて無いぞ? 何を願えば良いんだ?!




