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嫌な客

出勤前に投稿です。

俺以外のメンバーも全員唖然としている。

いや、ナミちゃんとポチだけは大喜びしているが。

とにかく俺達には過ぎた部屋だという事だけは判る。

しかし、オーナーのサガワさんの好意ではあるし、部屋を替えてとも言いがたい。

よし、この部屋は寝る為だけに使おう!

そう決心して話すと、全員が納得してくれた。


という事で早速出かけようとした時、ノックの音がした。

扉を開けると、案内してくれた従業員の人が立っていた。


「すみません。今よろしいでしょうか?」

「大丈夫ですよ? なんでしょう?」

「とてもお話しづらいのですが……今受付に福田様を出せという者が来ておりまして……。」

「は・はあ」

「それがサガワと同じホテル経営者なのです。同職のオーナーだけに断りにくく……」

「で?」

「サガワにも連絡はしているのですが、捕まらないようで……。」

「ふむふむ」

「何があってもお守り致しますので、話だけでも聞いてもらって頂けないでしょうか?」

「あ~なるほど。サガワさんにはお世話になりましたし、ちょっとくらいなら良いですよ」

「ありがとうございます!! 受付で騒ぐので他のお客様にも迷惑がかかってしまい、困っていたのです!」

「じゃあ行きましょうか。みんな、ちょっと下で話をしてくるよ!」

「ちょっとカンダ! 行くわよ!」

「えっ? どこに?」

「私達の仕事は護衛でしょ?! 護衛しに行くのよ!!」

「わ・判ったから耳を引っ張らないでくれ!!」


おお、リアルで耳を引っ張られる人を初めて見た!!

千切れてしまえ!!


1階に行くと、ハゲデブった金満野郎(偏見)がそこには居た。

あれが俺の客か……。宝石を一杯着けて、キラキラしてて目に悪いわ!

ウザいなぁと見ていると、俺に気づいたようでコッチを睨んできた。


「キサマが帝王か?!」

「違いますよ、福田です」

「福田って事は帝王じゃないか!」

「その呼び方はやめてください」

「うるさい! キサマのせいで俺の店は大赤字だ!」

「? 身に覚えがありませんね」

「寝ぼけるな! ガチャの店だ! 知らないとは言わせん!!」


あ~、全て納得いったわ。

あれ? でも店長って入院してなかったっけ?

オーナーと店長って別? ま、どうでもいいけど。


「それで? 何の用ですか?」

「キサマが何かイカサマをしたんだ!」

「してませんけど? 大勢の人が見てたでしょ? 支配人も見てたし」

「ギャンブルで勝負しろ!」


あっ、人の話を聞かないタイプだ。

こういうタイプは勝負するまでずっとうるさい。

さっさと勝負に乗って、帰ってもらおう。


「まあいいですけど。何で勝負します?」

「当然ガチャで勝負だ!!」

「ガチャで勝負?」

「『当たり』が出ればキサマの勝ち、『ハズレ』が出れば俺の勝ちだ!」

「ああそういう。良いですよ」

「よし! 言質は取ったぞ! では1時間後に中央にある会場に来い!」

「ガチャの店でしないんですか?」

「公衆の面前で負かしてやるわ!」

「あっ、そう」

「ガハハハハ! 怯えながら来るがいいわ!!」


そう宣言してハゲデブは帰っていった。


「福田さん、福田さん」

「ん? 何?」

「ヤバいんじゃないですか?」

「えっ? 何が?」

「アレは何か不正を企んでますよ?」

「そこは大丈夫じゃないかなぁ」

「信用してはいけないタイプですよ、アレは」


まあ、たしかにそう見える。


「それに、勝敗を決めたじゃないですか」

「うん。決めたね」

「それに伴う条件を聞いてないですよ?」

「条件?」

「勝ったらどうするのか。負けたらどうするのか。って事ですよ」

「ん? 勝ち負け決めて終わりじゃないの?」

「ガチャで勝負と言ったからには、『当たり』を引いた場合は賞品がもらえるでしょう。

 ガチャとはそういうモノっていうのが世間の認識です。

 なので今回も『当たり』が出れば賞品がもらえます」

「うんうん。」

「では『ハズレ』を引いた場合はどうでしょうか?

 普通はお金を払ってガチャを回しますので、ハズレたらそのお金が無くなって終わりです。

 今回の場合は『勝負』の為にガチャをするので、負けた場合のペナルティが不明です」

「そうなるの?」

「多分そうです。で、負けた場合のペナルティを言わずに帰りました。

 なので後から自由に設定してくるでしょう。

 例えば有り金全てとか、例えば今までガチャで取った賞品全てとか」

「汚い手だな……」

「ついでに言えば、勝った場合の賞品も提示してません。

 『当たり』を出して飴玉1個でも文句言えませんよ?!」


グヌヌ! キジマさんに指摘されて気づく俺もマヌケだが、ハゲデブも汚い!

だからさっき言質を取ったと言ったのか! 俺が逃げれないように。

もう怒った! あの野郎、地獄に落としてやるぜ!


1時間待つ間に、俺はさっきの出来事が非常に不幸だと思い込む事に専念した。

これで運を貯めて一気に使ってやる!!

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