バトル終了!
くそっ。俺の『ラノベから得た戦い方』が通用しないなんて!
あっ、ナグラさんも転生者だもんな。無理だよな。
それに、入院中に色々読んでたみたいだし。
もしかして、こういう場合はテンプレの方が通用するのか?
テンプレって皆が使う物で定番な物なんだが、それだけに通用するって事でもあるんじゃないだろうか?
ラノベに限定せずに広い範囲で考えれば、色々と良い方法がありそうだ。
よし、次はこの方法で行こう。
まずはチョロを召還する。
着替えた時に部屋に置いてきたんだよね。
スネて無ければ良いけど。
チョロを抱きしめ、右手には支給のナイフを持つ。
「フハハハハ! お前達の仲間の従魔を人質、モンスター質?にした!
抵抗すると殺すぞ!」
「えっ?! 殺されるんですか?! 何かしやしたでしょうか……」
「しーっ! 黙ってろよ! 演技だよ!」
「そうでやしたか……」
さあ、どんな反応するかな?
「一気に小物感が増したっスね」
「本当にラスボスか?」
「チョロはどうでも良いわ! 攻めるわよ!」
ヒドいな、お前ら!
さすがに俺の心にもグサッときたよ?
チョロなんか、どんどん薄くなってるぞ? 消えるなよ! 消えたら死ぬぞ?! 多分。
って言うかさ! 本当に攻撃してくるのはおかしいと思うんだ!
慌ててチョロを送り返す。
くそ! 人質作戦もダメか……。
ならば、次は交渉だ!
「フフフ、私と手を組むなら世界の半分をお前たちにやろう。どうだ?」
「交渉してきたっスよ?」
「交渉事はキジマさんに任せましょう。私たちはとりあえず魔法攻撃よ!」
チクショウ! 手を緩めろよ!
壁系の魔法を使ったり回避したりして、なんとか耐える。
するとキジマさんから回答が来た。
「では私たちは地上を貴方は海を。これで半分ですね。
あぁ、地上よりも海の方が広いので、半分では無いですけど」
「何その半分の分け方! ヒドくない?」
「じゃあ判りました。貴方は地上と海をどうぞ」
「えっ? じゃあそっちは?」
「空中を貰います」
「えっ? それで良いの?」
「ええ。空中は私達の場所なので、無断で空気を使わないでくださいね」
「死ぬわ!!」
RPGのボスを真似したけど、無理でしたー。
交渉は向こうの方が上手です。
アホな交渉をしてる間も攻撃されてます。
どう考えても『ガンガンいこうぜ』の指示が出てますね。
さすがに避けきれる訳も無く、バシバシ被弾してます。
こうなったら、真っ向勝負だ!
……最初からこうすれば良かったのか?
って無理無理!
よく考えたら、俺と同じくらいのレベルの人ばかりじゃん!
それに多数対1って卑怯じゃね?!
死なないって判ってても怖いわ! トラウマになるレベルだ!
よし、退散しよう。そうしよう。
カンダさんの一撃を食らったと同時に大きく跳ぶ。
タイミングを合わせたので、吹っ飛んだように見えてるハズだ。
後は決めゼリフを言って終わりだね。
「ぐぅ! よくそこまで強くなったな。我が息子よ……」
「女ですけど?」
カンダさんに言ったの!
横からチャチャ入れないでよ!
もういいや。退散するとしよう。
負けを認めたのを悟ってくれたのか、俺は最初のように黒い水溜りに沈んでいく。
本当はアニメになった某VRMMOのように光が粉々になるように消えたら格好良かったんだが。
そうだ! こういう場面は!
俺は首くらいまで沈んだ時に、手を上げた。
そして親指を立てて、ゆっくりと沈んでいった……。
あの映画では溶鉱炉だったけどね。




