マスク
俺は一人で受付の変態、いや女性の所に行った。
「許可貰いましたよ。今に連絡が来ると思います」
「なんと無理やりに我侭を通しましたか!
その我侭でついでに私を自由にする権利も得たのですね?
連絡があり次第私は暗がりに連れて行かれそのまま好き勝手に……あぁ!」
「……連絡がきたら教えてください」
変態には何を言っても無駄なようだ。
黙って連絡を待とう。
少しすると変態さんが携帯電話を取り出して話しをしだした。
それが終わると俺を呼んだ。
「連絡がありました。
貴方の参加の件と、ミズウミ様の挑戦の件、2つを承りました。
今は貴方の仲間が挑戦中ですので、貴方の件を優先させます。よろしいですか?」
「はい、お願いします」
早くしてもらわないと困る。
何故なら既に、3階部分まで黒くなってるからだ。
今は4階に挑戦中だろう。終わってしまうじゃないか!
「では、まずはこのマスクを付けてください」
「マスク?」
「えぇ。本来は途中参加は認められないのです。
なのでスタッフですよ~という振りをして入ってもらいます」
確かに言われて周りを見渡せば、黒のマスクをしてる人がチラホラと居る。
でも何故このマスク?
目と口の部分にだけ切込みが入っており、それが笑っているように見える。
色は黒だが、つや消しのブラックといった感じだ。
一言で言えば、黒いピエロ?
しかしこのマスク。ヒモも付いてないし被るタイプでもない。
どうやって装備するのだろうか?
「顔に当ててもらえば、吸い付くようにくっつきます。
外す時は、目の横、そう、こめかみの辺りを両方押さえてもらえばOKです」
そう言われたので、この場で実験してみる。
後で装備して外れなかったらイヤだから。
うん、なるほど。
顔に当てると手を離しても外れないし、ズレる事も無い。
そうだなぁ。凄く軽いメガネを着けてるみたいだ。
自動調整機能でもあるのか、目の位置も合っていて視界の邪魔にならない。
両手でマスクを持ち、こめかみの辺りを人差し指で触ると外す事が出来た。安心だ。
って事で、もう一度装備する。
「装備されましたね。ではそのままコチラへどうぞ」
「ちょっと! 僕は?!」
「ミズウミ様は、私の代わりに少しの時間そこで受付をお願いします。
少し待って下さいと言うだけでOKですので。では」
ミーちゃんは代わりに受け付けか。
可哀想だが許せ! 俺は参加したいんだ!
変態さんに付いていくと、岩山?ダンジョン?の裏に来た。
入り口も何も無いけど?
「ここには非常時の入り口があるんですよ。
……誰もいないし、マスクをして正体がバレないからと私に不埒な行為をするのは止めてくださいね?
あっ! 止めてと言ったのに! ダメ! 止めて!! あぁ!!」
「何もしてないじゃないですか! 一人で興奮してないで早く開けてくださいよ」
「ちっ。ジョークですよ。さぁ、どうぞ」
変態さんが壁を触ると、壁が左右に開いた。
ってエレベーターかよ!
「行き先は……5階ですね。使い方は判りますね?
乗ったら5を押してください。着けば自動で開きますので」
乗り込み、5を押すと扉が閉まった。
ギリギリだったなぁ。もう4階までクリアしたのか。
早く参加しないとなぁ。着いたらクリア後なんて、シャレにならない。
エレベーターだから焦ってもどうしようも無いのだが、5のボタンを連打してしまう。
到着するのか速度が遅くなるのを感じた。
よし! 参戦だ! 待ってろよ皆!!




