不条理
宿に戻り、自宅に移動してから予定を立てる。
「で、明日挑戦で良いのかな?」
「はい。お願いします」
「えっと、挑戦するのはモリタ君以外に、ここにいる全員で良いのかな?」
「あの~、何の話なんでしょうか?」
いけね! カンキジコンビにモリタ君の事情を説明してなかった!
って事で、簡単にザックリと説明した。
「そういう事ですか。まぁ、福田さんが行くなら行きますけどね」
「そうね。護衛ですから」
「皆は?」
「私も護衛っスから、行くっス!」
「こんなアトラクション、参加しない訳無いでしょ!」
「やれやれ、女性が行くなら僕も行かないとね」
「じゃあ全員参加で。問題無いよね?」
「攻略する人数に制限はありませんから。でも……」
「ん? 何?」
「女性は止めた方が良いかと……」
その発言にナグラさんが食いついた。
「ちょっと! 何よ! 男尊女卑ってるの?! それとも戦うのは男の仕事って言いたいの?!
言っておくけど、貴方より強いんですからね!!」
「い・いえ! そういう訳じゃなくてですね……」
「何よ! はっきり言いなさいよ!!」
「いや……あの……、万が一の……ですね……」
あっ! 判った!
負けた時のペナルティの事だな!
「あ~、ナグラさん。ストップ。理解できたわ」
「何よ!」
「モリタ君は言いにくいようなので、俺が説明するわ。
見ただろ? 挑戦者が負けた所。あっ、俺達が目隠ししたから見てないか。
負けるとね、素っ裸にされて外に出されるの。公衆の面前に捨てられるの」
「スケベ! 変態!!」
何故俺が平手打ちされるのだろうか……。
俺が裸にするんじゃないのに……。
説明しただけなのになぁ。
だが、それを聞いて女性陣は全員自分がそうなった時を想像したようだ。
赤くなって困っている。
だが、それ打ち破ったのもナグラさんだった。
「負けなきゃ良いでしょ!! やるわよ!!」
「本当に?」
「やるわよ!!」
「まぁ、負けないだろうけどさ。じゃあ、やっぱり全員で挑戦って事で」
「わ・判りました」
翌日。
皆で試練のダンジョンの受付に向かう。
野次馬達は、女性が居るのを見てざわめいている。
「おい! 女が居るぞ!」「しかも3人!!」「カワイイじゃねぇか!」
「アレが裸で出てくる?!」「ロリっ子の裸……ハァハァ」「今日は見ものだな!!」
何か危ないヤツが居た気がするが……。
まぁ、良い。どうせ負けないんだから問題無い。
女性に目が行ってて、モリタ君に気づいてないようだし。
受付に到着したので、登録をしよう。
受付に居るのは女性だ。
だが、頭に角が1本生えている。
鬼? って事はモンスター? あっ、ダンジョン関係の人なのね。
「すいません。7人で挑戦するんで、登録お願いします」
「はい。判りました。ではここに手を置いてください」
あっ、すげー久しぶりに見た!
三途の川で使ってるタブレットじゃないか!
って事は、ここの管理は三途の川?!
呆けてると、その間に皆は手を置いて登録したようだ。
俺も慌てて手を置いて登録する。
ビー!
ん? 何この音?
「貴方は福田さんですね? 福田さんは挑戦出来ません」
「はぁ?!」
俺の後にミーちゃんも手を置いたが、こちらもビー!と鳴って拒否された。




