説得です
「ちょっと! 置いていくなんてヒドいですよ!!」
「いや~、変態は苦手なんで。テヘッ?」
「誰でも苦手ですよ!! 俺だけ犠牲にするのはヒドいですよ!」
「君の奥さんも一緒に逃げたじゃん。それに君は俺の護衛。OK?」
「ぐっ……! そうですけど……」
「それにしてもさ、よく逃げてこれたね?」
「当て身を食らわせて気絶させてきましたよ」
「あ~、暴力! いけないんだ~!!」
「置いていっておいて、よく言えますね……」
冗談はさておき、無事で良かった。
心配してたんだよ? 本当だよ?
俺達は宿屋に戻り、作戦会議だ。
あっ、レイとチョロにはドッサンは近づけるなと言ってある。
2匹なら来たとしても、簡単に無力化してくれるだろう。
「武具が必要なんだね?」
「はい……。やはりさっきの店に戻って!」
「いやいや、あそこはダメ。NG。禁止。武具なら用意するから」
「で・でも! それでは自分の力でって事になりません!」
「いや、俺に頼んでる時点で自分の力では無いから」
「!! ……」
「ちょっと! あんまりイジメないの!」
いや、イジメた訳じゃないんだが。
事実をね、言っただけなんだよ?
判ったよ、オブラートに包んで言うよ。
今思ったけど、「オブラートに包む」って言うけどさ、オブラートってすぐ溶けるイメージなんだけど良いのかな?
まぁ、いいや。
「え~……、俺に協力を要請して受け入れてもらえた。これも自分の力じゃないのかな?」
「でも……」
「ほら、え~と、勇者とかの物語! そう! 物語を考えてごらん!
仲間を集めて強大な敵に立ち向かうだろ?! あの主人公の勇者は卑怯か?」
「……いえ、違います」
「そうだろ?! 君は俺達という仲間を集めて、試練のダンジョンという強大な敵に立ち向かうんだ!」
「……そうでしょうか?」
「そうだよ! いくら強くても、単独で乗り込むなんてのはバカのする事だ!
仲間! 友情! 協力! これ、大事よ!」
「……そう……ですよね。問題無いですよね?」
「問題無し! ノープロブレム!!」
「そうですよね! 問題無いですね!」
「そう! だから仲間が武具を用意しても大丈夫! お金払えば売ってもらったのと同じ!!」
「ですよね! じゃあお願いします!」
「了~解!」
ふっ、チョロいぜ。
ん? ちゃんと説得したのに周りの目が痛いぞ?
「洗脳ですか?」
「洗脳ですね」
「いや、洗脳まではいかないっスよ。たらしっス!」
「まるで新興宗教の教祖みたいね」
「君、巧い事言うねぇ」
お前ら……覚えておけよ!
君達の方がイジメだからなーー!!
気を取り直して……。
防具は城からパクったのがあるから良いとしてだな。
後は武器か~。
カジノの町で、適当なのを当ててくれば良いかな。
夜に武具屋に行ってもやってないだろうし。
って事でカジノの町にやってきました。
皆は家に置いてきた。
カンダさんだけは付いてきてるけどね。
人に聞くのも面倒なので、運を使って探すつもりだ。
『普通よりちょい良い剣が入手出来るギャンブルしたいな~』と願いながら歩く。
すると、100mくらい大通りを歩いた時に、風に煽られてよろけてしまった。
その拍子に、扉に手を付いてしまい、そのまま開けて中に入ってしまった。
その店はビリヤードの店でした。




