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ナグラさんの活躍

残業で遅くなりました。

夕方前には町に到着した。

ここは結構大きな町なので、宿屋に泊まる事にした。

また筋肉バカに遭遇してもイヤだしね。

泊まると言っても借りる部屋は一つだけで、そこから家に帰るのだが。


翌日。

チェックアウトしようと受付のある1階に降りた。

そこには食事スペースもあるので、人が多い。

どうやらここの朝食は安くて量があり美味いという事で評判なんだそうだ。

知ってたら家で朝食を食べてくるんじゃなかったよ……。


だが、ここはマジックボックスの出番だ!

容器だけを渡して朝食を買い、それに入れてもらう。

これを昼に食べれば良いのだ。


店主とそういう話をして皆の所に戻ると、ナグラさんに老年の紳士が話しかけてきた。


「すみません、お嬢さん。先ほどから私の足を踏んでいるのですが」

「あっ! すみません!!」

「若い女性に踏まれているのは良いのですが、移動しなくてはならないので」


ん? 何か変な事言ったぞ?

いや、ただのジョークなのだろう。ニコニコしているし。

どうも毎日変態に会ってるからか、過敏になってるようだ。


「すみません。失礼しました」

「お気になさらず。では、失礼します」


やはり気のせいだったようだな。

今もナグラさんの謝りに対して、笑顔で対応してたし。

足を踏まれたのに荒げる訳でもなく、ジョークを言ってにこやかに去る。

ん~、かっこいいね! あんな老人になりたいものだ。


朝食を人数分受け取る事が出来たので、宿屋の馬車置き場に移動した。

するとそこには先ほどの老紳士が。


「おや、またお会いしましたね」

「あっ、さっきの!」

「はい、さっきのですよ」

「あわわ、し・失礼しました」


ナグラさん、落ち着きたまえ。

恥の上塗りだぞ?


「いえいえ。失礼な事を言う若い女性。良いですね……」

「ん? 何か?」

「いえいえ、何でもありませんよ」


いやいや、何でもあるだろ!

やっぱり怪しいぞ、その人!


「そうだ! 貴方、少し付き合ってもらえませんか?」

「えっ? 私ですか?」

「ええ。私の孫が明日誕生日でしてね。何をプレゼントしたものか悩んでるのですよ。

 アドバイスをもらえませんか?」

「え~と……今から出発の予定なんですが……ちょっと待って下さい!」


そう言ってナグラさんは俺の所に来た。


「ちょっと出発が遅くなっても良いかな?」

「急いでないから良いんだけどさ……ちょっと怪しくない?」

「何が? あれっ? 心配してるの?」

「あぁ。でも多分考えてる事とは違う心配だけどさ」

「?? まぁ、心配ならついてくれば?」


精神衛生的にもついては行きたくないが、しょうがない。

保護者は俺なんだから、付いていこう。

皆には馬車で待っていてもらう。


老紳士と俺とナグラさんで雑貨屋に来た。

ナグラさんは孫の趣味嗜好を聞きたいようだ。


「どんな物が好きなんですか?」

「どうでしょうね?」

「え~。例えば身に付ける物とか。どんな物を身に付けてます?」

「そうですね。腕にこう……」

「あっ、腕輪ですね」

「いえ、違います」

「じゃあアレかな? 髪を止めるシュシュを腕に付けてるとか」

「いえいえ。布ではありませんよ。皮と金属で出来てます」


え~、孫も同じ趣味の人か?

多分、それは腕輪ではなく手錠って物じゃないか?

SとかMとかの人達愛用の。


俺は危険を察知したので、近くにあった髪留めを掴んで差し出した。


「こういう物が良いと思いますよ! では俺達は急ぐのでこれで失礼します!!」


そう言って、ナグラさんの手を引いて店を出た。

そのまま早足で馬車まで行く。

馬車に乗り込み、町を出てからナグラさんに説明した。

あれは服のサイズのL以外が趣味の人だと。

しばらくは??な顔をしてたが、キジマさんに説明されてから顔を真っ赤にしていた。

活躍と書いて「さいなん」と読みます。

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