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筋肉

散策も切り上げて、国境を越えた。

とうとうコルラド国に入った。

変態が多いならヤダなぁ……。


聞けばこの道中にダンジョンがあるらしい。

多分、トムさんが話していたユニコーンの居るダンジョンなんだと思う。

帰りにでも寄ってみるかな?


モリタ君の話だと、やはり馬車で半日進むたびに村や町があるそうな。

うん、馬車移動が基本だもんな。

野営しなくて済むように村や町を設置するよね。



夕方までに次の村には到着したが、ここもスルーする。

村なんかに泊まったら『コネクト』で帰りにくくなるからね。

今回も暗くなったくらいに家に帰った。



翌日。

馬車に戻ると、周りには上半身裸のムサいオッサンが大量に寝ていた。

どうやら、レイにやられたようだ。

手に武器を持ってる点から、多分盗賊なんじゃないか?


とりあえず武器を集めて、オッサン達はロープで縛っておく。

で、『ウェイクアップ』の魔法を使ってリーダーっぽいヤツを起こした。


「ん~、んむむむ……ん? おう?! なんじゃこら?!」

「おはよう」

「うん? あぁ、おはよう。じゃねぇよ!」

「いや、怪しかったから束縛したんだけど。盗賊だろ?」

「はぁ?! 失礼な事を言うな! 俺達は自衛団だ!!」


はぁ?! 自衛団?!

どこから見ても盗賊だぞ?!


「おいおい、寝言を言うなよ。もう起きてるだろ?」

「お前こそ寝ぼけてるのか?! 自衛団だって言ってるだろ!!」

「証明する物は?」

「俺の剣を見ろ! 紋章が入ってるだろうが!!」


一纏めにしておいた武具を確認する。

確かに紋章が付いている。

だが、これも奪った物だという可能性もある。


とりあえず、モリタ君に確認してもらった。


「確かにこの国の貴族の紋章です」

「奪われた可能性は?」

「まずありえないですね」

「それは何で?」

「この紋章の貴族は武力が高い事で有名です。

 奪われたのなら威信に賭けて取り戻すでしょう。奪った者が生きていられるとは思えません」

「奪ったばかりだとしても?」

「その可能性はありますが、ちゃんと手入れされています。

 それに柄を見てください。使い込んでいる証に手形が付いていますよ」


そうか、その手形をリーダーの手と比べれば良いのか。

って事で実践してみると、確かにピッタリだった。


「本当に貴族なのか?」

「そうだと言ってるだろ!」

「じゃあ何で俺の馬車に近づいてきた?」

「村や町に泊まらずに、こんな道端に豪華な馬車が止まってれば怪しんで近寄るに決まってるだろ!」


なるほどね。それには納得だ。

だが、問題はそこではない。

何故貴族なのに、上半身裸なのかって事だ。


「では、貴方が貴族だとしましょう。何でその格好なのですか?」

「決まってるだろ! かっこいいからだ!!」

「かっこいい……?!」

「この素晴らしい筋肉! これを服で隠すのか?! そんなバカげた話があるか!!

 筋肉は美! 美は筋肉! 判るだろ!!」

「……モリタ君?」

「……聞いた事あります。そういう貴族が居る事を」


うわっ! 今度は筋肉バカかよ!

いや、筋肉フェチか?!

どちらにせよ相手にしたくない!!


「判りました。開放しますよ。

 その代わり、武具は少しの間預かります。

 そうですね、馬車で5分ほど進んだらそこに降ろしますんで」

「俺達を盗賊だとしたら、今解放して武具を渡せば危険だからだな?」

「そうです」

「じゃあしょうがねぇ。その代わり……」

「その代わり?」

「お前らヒョロすぎる! 今度出会ったら素晴らしい筋肉を付けさせるからな!!」

「遠慮します」


リーダーを解放しただけで、俺達はソソクサとその場を離れた。

他の者はリーダーが開放するだろう。

これ以上、筋肉とは係わりたくない。


何て恐ろしい国なんだ……変態祭じゃないか!!

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