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サマナー

夕方には村に着いたのだが、無視して進む。

1時間も進むと暗くなったので、そこで道の縁に馬車を止めて家に帰った。


翌日。

昼過ぎにはトンダと言う名前の町に到着した。


このトンダの町。なんと町の中に国境があるのだ!

と言っても、ベルリンの壁のように分断されたのではない。


順序だてて説明しよう。

まず最初に国境に関所が出来た。

当然そこには兵士が双方の国から派遣されてくる。

すると、人が居るって事で商人がやってきた。

兵士達は向こうの国の物を手に入れたいので、各国の王に進言した。

それが適い、国境付近のみ関税が減らされた。

それを目当てにまた商人が集まってくる。

宿屋もこの頃に完成。

商売になると、店を構える者が頻発した。

人が増えると、治安維持の為に娼館も出来た。

商人が護衛を雇うので、冒険者ギルドが設立。

店を作ったのに商売で失敗した人は、農業や狩猟を始めた。

これが国境の両方で行われたのだ。

今では町に入るのに門があり、それを入ってから国境を越えるという複雑な作りになっている。


こうして、町の中に国境があるという町が出来たのだ。

双方の国の物が集まるので、色々な物を売っていて面白い。

この町は門と壁で囲まれている為に、商売人は比較的容易に国境を行き来出来るからだ。


国境を越える為に来ているんだけど、すぐには超えずに街中を見て回ることにした。

店舗自体も面白いが、何よりも面白いのが露店。

自由市場のようであり、フリーマーケットのようでもあり。


聞くと、受付でお金を払えば誰でも出店出来るそうな。

1m角のスペース1つで1日5000円と比較的安い。

商品だけ並べて立って商売するなら1スペースだけで足りる。

まぁ、だれも大体2スペース借りているようだが。


「ちょっとお兄さん! 寄っていってよ!」


そう声をかけてきたのは、20代に見える女性だった。

珍しく1スペースしか借りていない。

しかもそこに座っていて、何も商品を並べてないのだ。


「寄っていけって言われても……何も売ってないじゃないか?

 まさかとは思うけど、春を売ってるなんて事は……」

「売ってないわ! 失礼な!」

「じゃあ何を売ってるんだよ?」

「実はね~。モンスターを売買してるのよ!」

「モンスター?!」

「私、『サマナー』持ってるんだ。だから商品はいつでも出せるのよ」

「モンスターって譲渡出来るのか?!」

「どちらも『サマナー』を持っていて、双方とも了解すれば可能なのよ?」

「へ~、そうなんだ」

「お兄さんも『サマナー』持ってるでしょ?」


何故判った?!

この人『鑑定』とか持ってるのか?!

そんな技術があるか知らないけどさ。


「いやいや、そんなに驚いた顔されても……。

 フードの中からコウモリのファントムが見えてるよ?」


ただ単に、チョロが見られただけだったようだ。

って見つかるなよ! 何やってんだよ!


「ま・まぁ、俺も『サマナー』持ちだよ」

「でさぁ。そのコウモリなんだけど……売ってくれない?」

「えっ? 何で?!」

「だって可愛いじゃない!!」

「は?」

「可愛いは正義! 可愛いはジャスティス! 私は可愛いモンスターを集めてるの!

 それだけじゃ生きていけないから、可愛くないモンスターも集めて売ってるけどね」

「そ・そうなんだ……。でも売らないよ?」

「じゃ・じゃあ、さささささ・触るだけでもさ……」


そう言いながら血走った目でジリジリと近寄ってくる。

チョロも異常に気づいたのか、俺の後ろ頭に張り付いて怯えている。


「え~、嫌がってるようだから、ナシで」

「良いじゃないの! ちょっとだけだから……ハァハァ」


怖い!

ここにも変態が居た!


「お断りしまーす!」


そう言い残して、俺は走って逃げた。

コルラド国は、変態の産地なのか?!

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