世界大会
バカな芝居も終わり朝食の時間となった。
それが終わると使用人さん達の朝食の時間になる。
これは交代でするらしい。
主人に何か頼まれた時に対応する為だ。
朝食が終わると、片付け・洗濯。
これが終わると掃除等があるのだが、訓練校に通うメイドさんは免除となる。
メイドさんは、護衛のパーティー『黒猫』と一緒にナグラさんとコタニさんが出かけていった。
昨日の内に2人については臨時で通うと話してあるそうだ。
男性2人は門の護衛に行った。
で、こうなると俺はヒマな訳で。
昨日の内に考えてた事を実行するとしよう。
まずネモト卿に『今から行きます』とメールを送る。
それから王の私室に『コネクト』で移動する。
30分くらい待ってると、ようやく王様と2トップがやってきた。
「お待たせしました」
「いえいえ、急にこっちが来てるんですから。むしろこっちが謝らなければいけませんよ」
「いえいえ」
「いえいえ」
「それはもう良いだろ。して、要件はなんだ?」
謝りあってたら王様からストップがかかった。
ん? あぁ、用件ね。
「えっとですね、カクカクシカジカな事がありまして」
「だから、それでは判らんというに!」
「察しが悪いなぁ」
「判る方がおかしいわ!」
しょうがないので、ギルドであった事を最初から説明する。
問題はバカベの名前を忘れた事だが……。
「なるほど。判りました。それでバカベと言ってるのは、はっきりと本名を伝えないという優しさですね?」
「そっちで調べろという厳しさでもあるな」
「福田君にこちらの能力を試されてるのか。確かにそのような者を放置していたので、信用されてないかもしれん」
勝手に解釈されました。
さすがに今から『忘れただけです』とは言い難い。
乗っかっておこう。
「ではお願いしますね」
「判りました。早急に調べます」
「そういうアホは過去にも何かやってるだろう。叩けば埃が出るはずだ」
「それをもみ消しているかもしれん。逮捕する場合は城から兵を出すとしよう」
相変わらずネモト卿は丁寧だね。
ヌマタ卿は過去まで探る気らしい。
こうやってると王様も有能だよな。ギャンブル好きの孫馬鹿だけど。
「そうそう、福田君よ。これからの予定はどうなっている?」
「えっ? 前に話した通り、馬車の到着後にコルラド国に行く予定ですけど?」
「それはどれくらいかかる?」
「え~と……。すみません、ネモト卿。カジノの町からどれくらいかかります?」
「道中ですか? そうですね、7日といった所でしょうか?」
「1週間ですか。じゃあする事もあるので、1ヶ月くらいですかね?」
「ならば大丈夫そうだな」
何がよ? また無理難題を出すのか?
それならしばらく帰らないけど?
「実はな、2ヵ月後に世界大会があるのだよ。それに国の代表として参加して欲しい」
「世界大会?! でも俺、体力には自信無いですよ?」
「何故体力?」
「えっ? 100m走とか競うんでしょ?」
「オリンピックの事か? それは3年後だ」
オリンピックあるのか。
やる時には見に行きたいね。
魔法もあるんだし、アホみたいな記録が出るに違いない。
しかし、オリンピックじゃないなら何の世界大会だ?
「福田君にお願いするのは、ギャンブルの世界大会だ!!」
「それかよ!!」
「これは2年に1度開催されているのだが、いつも優勝出来ないのだ!
カジノの町というギャンブルの都市がある国だというのにな! 非常に情けない!!」
「我々からもお願いします」
「えっ? 何で?」
不思議に思ってると、ネモト卿から耳打ちされた。
「いつもこの大会の後は、王が荒れるのですよ。政務が滞ってしまい迷惑なのです」
あ~、負けて悔しいのね。
やっぱダメ王だわ。
「判った。出るよ」
「良し! これで今年は優勝だ! 勝った!!」
「何に勝つんだ?」
「えっ……何の事かな?」
「ヌマタ卿?」
「王同士でどこの国が勝つか賭けてるのですよ」
あ~、そういう事ね。
わざと途中で負けてやろうか!




