黒幕
シロを呼んで近衛アリに家の護衛を頼む。
さすがにモンスターがウロウロしてると問題がありそうなので、地面の中で待機してもらう。
交代とかはシロの方が詳しいだろうから、お任せだ。
休憩や仮眠は家の中を使ってもらって良いと言っておいた。
食事はヒタキさんに任せた。
近衛アリを見てもビビらなかったのがヒタキさんだけだったから。
そうそう、家に居た女性冒険者だけど。
メイドさんの護衛任務に着いてもらおうと考えてた。
話を聞くと、、、
・女性だけでパーティーを組んでる
・1人が怪我をしたので、回復待ち
・依頼は大歓迎
・出来ればパーティーで受けたい
って事だった。
こちらとしてもありがたい。
建物の中の護衛はナグラさんとコタニさんで良いけど、道中の護衛が二人ってのはと思ってたんだ。
王都を拠点にしてる冒険者なら色々を詳しいだろうし。
って事で冒険者ギルドに一緒に行って、指名依頼を出して受けてもらった。
帰って仲間に話して、明日の朝に家に来るそうな。
またあの変な冒険者に絡まれるんじゃないかと心配になったので、拠点までは俺が護衛した。
何か変な感じだな……。
帰宅すると、ヒタキさんが待っていた。
「これからバトラーギルドに行こうと思いますが、よろしいでしょうか?」
「話を通しておくの?」
「はい。その予定でおります。帰りに買い物をしますので、少々遅くなるかもしれませんが」
「OKOK。問題無いよ。お願いします」
「では行ってまいります」
ヒタキさんが出て行った後、メイドさんから話を聞いた。
商店街でもヒタキさんは有名らしく、あの貴族が邪魔をしてもヒタキさんには売るだろうという事だ。
哀れ、貴族よ。
やればやるほど、嫌われるのはお前の方のようだぞ?
翌朝。
誰も使わない政務室で、黒猫を膝の上に置き朝日をバックに座る男。
そこに集まっている者達は緊張した面持ちだ。
「宜しく頼む」
一言だけ男は発し、手にしていた葉巻を吸う。
「エホッ! エホッ!!」
「ダメじゃない、むせちゃー!」
「俺、タバコなんか吸った事無いんだもん。無理だよ……エホッ!」
そう、その男とは俺の事だ。
黒猫はヒヨである。
今回暗躍(?)するって事で、俺が黒幕のような演出がしたいというナグラさんの要望でこうなった……。
集まった人達は、いつものメンバー+女性冒険者のパーティー『黒猫』。
名前が合ってるので、こうなってしまった。
緊張した面持ちと言ったが、あれはウソ。
皆、笑いを堪えてる顔だよ!
確かに黒幕のイメージってこんなのだけどさぁ!
どっちかと言うと、悪役の側じゃないかな!
日をバックにするって、顔を陰にして判らなくする演出だけどさ。
部外者が居ないから意味無い演出でしょ!
俺もノリノリでやっちゃったけどね。
あ~あ、葉巻とか無駄な出費しちゃったわ。
くそっ、この恨みはバカベで晴らしてやる!
あれっ? 本名はなんだったっけ?




