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風呂

前話に引き続き、勢いのみで書きました。続きです。

今更宴会場に行く気力も無いので、当初の予定通り風呂に行く。

ずっとモヤモヤしてるけどね。


脱衣所に着くと、やはり人気旅館らしく人が沢山居た。

何とか脱衣カゴを見つけて、タオル一枚で風呂に向かう。

おぉ! さすが! なんて巨大な露天風呂なんだ!

石鹸も備え付けられており、なんとシャンプーまである!

体を洗い露天風呂に入ると、嫌な事も全て忘れるね~。

ふぃ~~~。気持ち良い。


ふと横を見ると、何故か行列が出来ている。

どうもそこは打たせ湯のようなんだが、行列が出来る意味が判らない。

近くに看板があったので行って読んでみる。

『髪神温泉名物 髪の湯』

なるほど、どうりで薄い人が滝行のように頭で湯を受けているハズだわ。

誰もが一心不乱に祈っている。この風景はなかなか怖い……。

俺はそっと目を逸らし、露天風呂に入りなおした。


風呂を上がり牛乳を飲んでいると、カンダさんも出てきた。

そういえば髪の湯の列に並んでたような気が……。見なかった事にしよう。

いや、風呂は良かったよ? 帰るまでに後2回は入ろうと思ってる。


部屋に帰ると、何故かまた主人がいた……。


「・・・何の用ですか?」

「はい。風呂上りで後は寝るだけ、となれば枕投げですよね?お手伝いに来ました」

「・・・いや、しませんけど?」

「え~~? しないの?」

「しませんよ!! 旅館側としては禁止するんじゃないの?!」

「じゃあ寝る前に百物語ですね。ロウソクをちゃんと100本用意しましたよ」

「3人で百物語って!! 1人33話も話さなきゃならないじゃないか?!」

「じゃあ3本で」

「それでいいのかよ!! いやしないけどさ!!」

「まずは福田様からですね。じゃあ明かり消しま~す」

「話を聞けよ!!!」


カンダさんは我関せずと言わないばかりに、既に布団に入っている。

おいおい、逃がさないぜ。今夜は寝かさないよ?

男に言うセリフじゃないな…。

とにかく、このワクワクしながら俺の話を待っている主人を帰さないと!!


「・・・じゃあ1話するので、聞いたら帰ってくださいよ?」

「判っていますよ~」

「本当かなぁ……。え~と、あれは俺が子供の頃でした。寝ようと2階に上がった時の事です」

「なんで2階に?」

「2階に寝室があったので」

「なるほどなるほど」

「川の字で寝てたのですが、夜中にふと目が覚めたのです」

「なんで?」

「なんで?! 何か感じたからじゃないですかね?!」

「なるほどなるほど」

「起きたついでにトイレに行こうと扉の方に向かった時に、それは起きました!」

「漏らしたんですね?」

「なんでだよ?! 漏らさない為にトイレに行くの!」

「誰が?」

「俺が!!」

「へ~」

「聞けよ!! ふと壁を見ると白い何かが浮いていたのです!」

「豆腐、ですかね?」

「豆腐が浮くか!! 豆腐だったら食べるわ!!」

「なんで?」

「なんで?! 豆腐はおいしいからだよ!!」

「醤油はいらないんですか?」

「いるよ! ネギもいるよ!! って豆腐は関係無い!! 幽霊だったの!!」

「お父さんの?」

「親父は生きてるよ!! 死んでない!! 横で寝てるの!!」

「横で寝てる?! クマが?!」

「いつクマが出てきた?! クマは出てこない!! 一生出てこない!!」

「クマ出てこないのか~。じゃあもうこの話はいいや。おやすみなさい」

「聞く気なくなっちゃったよ?! で本当に帰っていったよ?! なんなの?!」


俺は腹いせにカンダさんに枕をぶつけてやった。


グッタリした俺はもう一度温泉に入る事にした。

あのまま寝れるほど、俺の神経は太くない。

風呂に着くと、扉に張り紙がしてあった。

それによると、今は掃除中で、この廊下を進んだ先に別の露天風呂があるのでそちらへどうぞ、との事。

まだ入ってない風呂があるというのなら行きましょう!

こういう所に来ると、全ての風呂を制覇しなきゃね!!


廊下を進むと外への扉があり、下駄が用意してあった。

どこまでも和風だねぇ。悪くないよ。

下駄に履き替え外に出ると、10m先に脱衣所の扉があった。

そこには下駄が一つあり、先客がいるようだ。

横の看板には『美肌の湯 混浴』とある。

あらあら、これはこれは。

もしかして俺の運が作用して、誰か女性が入っているのか?

さっき散々不幸な目にあったからね。幸運が来ても不思議じゃないよね!

本命はコタニさんだろう。対抗はキジマさん。大穴で奥さんかな?

運の力でラッキースケベを引き起こす。男の夢だね!!

わざとじゃないもんな。しょうがないよ。


ニヤケた表情を理性で押さえ込みつつ、急いで服を脱ぐ。

風呂場の扉を開けると、


「いやん!」


主人! お前かよ!!

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