バカベ
悩む事1分。
マカベの息子がイライラしだした頃、やっと思い出した!
馬車屋だ、馬車屋!
サービスするから名前を強調してたアレだ!
しかもこのメイドさんを雇った日に聞いてた名前だよ。
あ~、アレの息子か~。
残念でした、マカベさん。貴方の息子のせいで、サービスが無駄になりましたよ?
「馬車屋の息子だろ?」
「馬車屋だけ営業してるんじゃねぇ! 色々やってるわ! だ・だが、判ったようだな」
「うん。判った」
「お前! その態度! 貴族様だぞ! 敬語を使え!」
偉い貴族様は親の方で、お前は偉くないんだけどな。
ま、ココはおとなしくしといてやるか。
敬語を使ったからってバカにしない訳じゃないんだけどね。
「へいへい。マカベ様でしたっけ? で、何の用なんでしょうか?」
「判ってるだろ! その女を渡せ!」
「それはどういう理由からでしょうか、マカベ様?
何故渡す必要があるのですか、マカベ様?
これは今、うちで働いているメイドですけど、マカベ様?」
「名前を連呼するな! それは私の婚約者なのだ!」
あれ、そうなの?
メイドさんをチラリと見ると「貴族だった時の話です。今は違います」と耳打ちしてきた。
「今は違うそうじゃないですか、マカベ様。
そこはどうなってるんですか、バカベ様。
大体、だからって無理矢理連れて行くのはおかしくないですか、マカベ様」
「おい、今、バカって言ったか?!」
「言ってませんよ、マカベ様。
耳がおかしくなりましたか、バカベ様。
ちゃんと答えてください、マカベ様」
「また言っただろ?! 今もまだ俺の婚約者だ! 連れて行って何が悪い!」
流れの勢いでバカって言ったのに、よく気づいたな。
破談になったんだろ? 諦めろよ。
大体、メイドさんの感じからして、嫌がってるじゃないか。
あぁ、そういえば前に聞いたな。
母親の家に行かない理由で「嫌なヤツと結婚させられるから」って。
そうか、こいつの事か。
「キサマ……。
ふん、よく考えろよ? お前の家を潰すくらい簡単なんだからな?」
出た出た定番のセリフ。
ここは詳しく聞いてみたい。
「ほう? どうやって潰すのか、具体的な事を聞いても?」
「ふっ、父に言って、お前とは取引させないようにする。全ての店にな。
食料も何も買えなくなるし、物も売れなくなるぞ」
「ここのギルドを利用するので別に問題無さそうだなぁ」
「ふん、ここのギルドマスターも父の知り合いだ。
ここでの取引も中止させてやるわ!」
多分、それは無理なんじゃないかなぁ。
それやったら、逆にお前の家がヤバい事になると思う。
お前の家に居る執事やメイドさんもここから派遣されてるだろ?
皆退職するぞ? 自分で家事出来るのか?
「なるほど。話は判りました」
「やっと理解出来たか。じゃあ渡せ」
「話は判った、と言ったんですよ? 渡すとは言ってません。
好きにしろよ、バカベ。おっと、バカベ様。
親に話して来いや。どうなるか楽しみにしとくわ」
「キ・キサマ……。覚えてろよ!!」
そう言って走り去った。
最後のセリフまで定番だった!
う~ん、王都での楽しみが出来ました。
読者様に聞きたいのですが、
「登場人物」や「魔法」や「ステータス」などの表って掲載した方が良いですか?




