入金
習得する単位も、5×10=50も必要なのか……。
それを全部取ったヒタキさん。そりゃ拝む人も出るよね。
「あの~、すみません。で、口座の話なんですが……」
「あぁ。すいません。ちょっとトリップしてました。
口座の話ですね。あっ、でもそれはヒタキさんに聞かないと」
「そうですか。ではヒタキ君、今日は?」
「福田様に入金して頂きたくて、参りました」
「そうそう、そうだった。で、いくら入れれば良いのかな?」
「そうですね……1000万円でお願いします」
マジで?! そんなに必要なの?!
まぁ、お金はあるから問題無いけどね。
それに、ヒタキさんが必要と言うのなら必要なのだろうし。
そう思ってたらヤザワさんの方が驚いてた。
「おいおい、ヒタキ君! いきなり主に1000万入金しろっておかしくないかい?!」
「生活費です」
「多いわっ! どんな生活する気だよ!!
使用人含めて10人の家族でも、月に100万も使わないぞ?!」
「貴方に説明する必要はありません」
「そうだけどさ! 福田様、それでよろしいのですか?!」
えっ? 俺に振ってきたぞ?!
俺はもうギルドから貰った紙袋をそのまま出してるんだけど……。
「え~と、必要なんじゃないですか?
で、これだけ入金しておいてください」
「それで終わり?! 何この主従は?! ちょっとおかしいよ?!
……ってこの紙袋の中2000万以上入ってるじゃないですか!! サラッと渡さないで下さい!!」
冒険者ギルドから受け取ったのをそのまま渡しただけなんだが。
紙袋に入ってるのは最初からだ。俺のせいじゃない。
しかし、信用してるのはおかしいのか?
じゃあ一応聞いてみようか?
「あの~、ヒタキさん。ギルドマスターもこう言ってますし、一応内訳的な説明は……?」
「福田様が仰るのでしたら。
普通に生活費です。何故大金が必要なのかと言いますと、福田様の職業が関係します」
「職業? え~、冒険者?」
「そうですね。いつお帰りになられるか判りません。
突発的にお客様をお連れになる事も。備える為にも必要なのです」
うん、俺が悪いね。
ウロウロしてるし、突然帰って来るし。
生活費下さい、って言いたくてもいない可能性あるし。
何かが壊れたので修理費、ってなっても金持ってるヤツが居なきゃどうしようもない。
いつ帰るか判らないから、食材も用意しておけない。
家に金庫でもあればそこから出せるけど、俺は常に全額持ち歩いてるし。
いつも突然でスミマセン。
反省だね、反省。
説明を受けてヤザワさんも納得したようだ。
倍額以上入金する事に驚いてるけど。
「本当にこの金額を入金でよろしいですか?」
「はい。問題ありません。引き出しはヒタキさんがします。本人じゃ無くても大丈夫ですよね?」
「ヒタキ君なら問題ありません。了解しました。では手続きを致しますので少々お待ち下さい」
そう言ってヤザワさんは出て行った。
俺は気になった事をヒタキさんに聞いてみる。
「カジノの町のメイドさん達の給料はどうなってます?」
「あの町にもバトラーギルドがあります。
そこから受け取れるようになっております」
そうだったのか。じゃあ安心だね。
2分ほどでヤザワさんは帰ってきた。
「入金が完了いたしました。確認をお願いします」
「あっ、金額知らないので、大丈夫ですよ。信頼してますし」
そう言ったら、口をパクパクして驚いてる。
「福田様はそういうお方です。慣れましょう」
ヒタキさん。俺が変みたいな言い方は止めて下さい。




