スーパー
結局俺達はギルドマスターの部屋に行く事になった。
この場所でも良いと言ったのだが、混乱が収まらないからと連れて行かれた。
だったら移動するより手続きをさっさとしてくれれば良いのに。
まぁ、ヤザワさんがヒタキさんに用があるようなので、それでだろうけど。
部屋に入り椅子に座ると、ヤザワさんが自らお茶を淹れてきた。
う~ん、長居する事になりそうだなぁ。
「さて、本日はどのようなご用件でしょうか?」
「福田様の口座に用事がありまして」
おぉ! 出来る人は違うね!
ちゃんとまず仕事の話からだよ。当たり前だけど、出来ない人って居るよね~。
「判りました。お調べします」
そう言うとヤザワさんはテーブルに行き、鍵のかかった引き出しから書類を出してきた。
あれっ? 何でココにあるの?
「お待たせしました」
「あの~、ちょっと良いですか?」
「はい? 何でしょうか?」
「何で俺のがココにあるんですか?」
「あぁ。福田様のだけではありませんよ。城と関係のある人の書類は全てココに置いてあります」
「そうなんですか?」
「重要な書類ばかりですからね。ヘタをすれば国がひっくり返る可能性もあります。
この部屋は特別製なので、かなり頑丈なのですよ」
どうりで、窓も無い部屋だと思った。
置いてある物も少ないし、殺風景なんだよね。ある意味金庫の中なのか。
「よろしいでしょうか?」
「あっ、はい。納得しました」
「では。え~、今福田様の口座には300万入っていますね」
「えっ? 残金あるの?! ヒタキさん?」
「これは今月の給料ですね。城から入金されたお金のハズです」
「そうですね。2日前に入金されております」
「あっ、給料か。って月に300万も俺払ってるんですか?!」
「あれ? 福田様はご存知無いのですか? ヒタキ君、何で伝えて無いの?」
「福田様のお金では無いので、必要の無い情報だと考えました。
それに金額を聞けば、新たに雇うのは止めよう等言われる可能性がありますので」
あ~それはありえる。
城からの援助が止まったら自分で払う事になるもん。
その時には必要最低限の人数にするかもしれない。
知らなきゃ気にしなかっただろうし。
俺の性格を良く知ってるわ。
「で、もう聞いちゃったので、アレなんだけど。内訳は?」
「庭師兼護衛が1人とメイド4人で100万円、ヒタキ君が200万となってますけど……」
ヤザワさんが書類を見て教えてくれたけど……ヒタキさん、たけぇ!!
月に200万って年収2400万か!!
ヤザワさんも驚いてるぞ!
「おい、ヒタキ君! 月に200万ぽっちで雇われてるのか?!」
「そうです」
えっ? もしかして、それでも安い……の……か?!
マジですか?!
「福田様、知って居てこの給料じゃないですよね?!
あっ、そういえば今初めて知られたのですね。じゃあヒタキ君が決めたのか……」
「え~と、もっと高いのですか?」
「城に勤めていた時は月に500万くらいだったような……」
「高い!!」
「個人情報を漏らすとは感心できませんね……」
「いや、知っておいてもらったほうが良いだろう?」
「……」
「福田様、ここは学校でもある事を知っていますか?」
「へ? あぁ、朝に聞きました」
「ココは留年もありますが、飛び級もあるのです。
大体2年で卒業になるのですが、ヒタキ君はその2年で全てを習得したのですよ」
「ん? 2年間で全てって普通じゃないですか?」
「あぁ、なるほど。執事クラスの全てとお考えですね?
そうではなく、クラス全て、という意味です」
「はっ? ちなみにクラスっていくつあります?」
「全部で10クラスあります」
「……。1クラスで卒業に必要な単位は?」
「大体3~5でしょうか」
わーお! 10クラス×2年=20年、これを2年間でクリアだと?!
そりゃ月に500万払ってでも雇うよな!
ウチの執事はスーパー執事でした。




