お金の話
はたして、俺は何をしたのでしょうか?
何故、自分の家の玄関で正座をしているのでしょうか?
その答えは目の前に居る二人の女性が握っているハズです。
でも教えてくれません。答えてくれません。
ギルティ判定後、理由も判らずに反省中です。
反省にはなりませんけどね。
そして、俺の唯一の味方が冒険者の女性です。
ただ、弁解すればするほど何故か俺の反省時間が延びて行きます。
頼みの綱は男性二人ですが、目を合わせてくれません。
って、誰か助けてーーーーっ!!
「皆様、夕食の用意が整いました」
おぉ! ヒタキさんではないか!
ナイスタイミングだ!
「ヒタキさん。福田さんは夕食は要らないようなの。代わりにこの人が食べるから」
おぅしっと。
どこまでもヒドい仕打ちですね。
さすがにそこまでされると、俺だって反撃しちゃうよ?
「もー、ナグラさんもコタニさんもいい加減にしてくれ!
嫉妬はみっともないよ~。なんちゃって」
はい。失敗しました。
二人が赤くなるかな~なんて考えてました。
で、「なななな何言ってんのよ! も~許してあげるわよ」な事を言うかな~とか。
正解は「鬼のような形相になる」でしたー!
今ならタローもジローも南極まで逃げそうです。
もう一度言います。
誰か助けてーーーーーーっ!!
「福田様には、少しお話があります。少々よろしいでしょうか」
「どのような用件?」
「お金の事でございます」
ナイスだ!
そしてその鬼にも立ち向かう勇気!
正に勇者に相応しい!!
さすがにお金の話では、ナグラさんも分が悪いと思ったのか、許してくれた。
ただ、夕食抜きは確定のようだが……。
俺はヒタキさんと自分の部屋に移動する。肩を借りてね。
しかしお金の話とは……給料前借り?
部屋に到着し、テーブルを挟み向かい合わせに座る。
「で、お金の話だっけ?」
「はい。福田様は食費等がどうなってるかご存知ですか?」
「えっ? ……あれっ? 出してる記憶が無い……」
「実はそういうお金は家と同時に城から払われました」
「そうなの? 貰った記憶が無いけど」
「私達執事やメイドが所属しているギルドに貯金されております」
「あっ、そうなんだ。ん? って事は?」
「はい。もうほとんど残っておりません」
「そうだったのか! いや、教えてくれてありがとう!
あれ? 皆の給料は大丈夫?」
「それも城から毎月その口座に振り込まれます。ただ、食費の為に給料を伸ばす訳にもいかないので」
「そうだよね! どうすれば良い?」
「明日にでも一緒にギルドまで行きましょう」
「そうだね。俺、場所知らないしね。よろしく!」
「宜しくお願いします」
そうだったのか~。
全然知らなかったよ。
でもそりゃそうだよな。
維持費とか食費とかどこから出てるんだって話ですよ。
帰れば普通に食事出てたけどさ、材料費はどうしたって疑問に思えよ、俺!
ちなみに晩飯は、部屋で湯を沸かしてカップ麺でした……。




