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夏双旅館

19時前に温泉に到着した。

前世の温泉街と似ていて、そこらから湯煙が上がっている。

これはなかなか期待できそうだ。

泊まる宿はこの温泉街でも1・2を争う高級旅館。

奮発したな、カジノの町。

その宿の名は『夏双旅館なつにりょかん』。

……英語にしてはいけない。


宿に着くと、痩せ型で神経質そうなメガネの主人が出迎えてくれた。


「ようこそ、いらっしゃいました」

「あっ、お世話になります」

「いえ、こちらこそ~」

「こちらこそ?!」

「なんでもないです、はい。お部屋に案内しますね~。どうぞこちらへ」


なんだったんだろう?


玄関でスリッパに履き替えて主人の後を追う。

何で先に行くんだよ! ちょっと待てよ!!


2人で1部屋という事だったので、ウエダさん一家、俺とカンダさん、キジマさんとコタニさん、と割り振った。

ポチはウエダさん一家の部屋に当然のように行った。行ってしまった。なぜだ!


俺の部屋は『梅の間』で、主人が案内してくれた。

旅館と言うだけあって、床は畳敷きで床の間まである。嬉しいね~。

部屋に入ると既に布団が敷いてあった……。


「あの~、まだ寝る気は無いんですけど」

「あっ、夕飯の方が先が良いですか?」

「当たり前ですよね?!」

「わがままですね。判りました~」

「わがままかなっ?!」


なんなんだ、このご主人。訳が判らない!


「じゃあすぐにお食事をお持ちしますね~」

「は、はい、お願いします」


主人はそそくさと出て行った。


「何あれ?」

「さあ? 俺に言われても困りますよ」

「・・・とりあえず布団を避けてテーブルを出そうよ」

「そうですね。本当にすぐ持って来そうですもんね」


テーブルを用意した時に、ノックも無しに主人が入ってきた。


「ちょっと?! ノックくらいしてくださいよ?!」

「男同士だから問題無いと思いますが?」

「そういう問題じゃない!!」

「判りました、判りましたよ。ノックすればいいんでしょ」

「何で逆ギレぎみなの?!」


会話(?)をしてると仲居さんが料理を運んで並べてくれた。

カンダのヤツめ、さっさと料理の前に移動しやがって!

お前もこの主人の相手をしろよ!


「ではビールをお注ぎします。」

「いえ、お構いなく。自分達でしますので。なっ、カンダ?」

「えっ?あぁそうです。自分達でしますよ」

「いえいえいえいえ、これも仕事なので」


だったらさっきの仲居さんにしてもらった方が良いわ!

何でオッサンの酌を受けなきゃいけないんだ?!

主人はもうビンの蓋を開けて注ぐ準備をしていた……。

カンダは自分で注いでるし。ズルいぞ?!

しょうがないので注いでもらう事にしたけど。


「じゃ、じゃあ、お疲れさん」

「お疲れです」

「「カンパーイ!」」

「福田さんのちょっと良いとこ見てみたい! ハイ! ハイ! ハイ! ハイ!」

「ご主人! うるさいです!!」

「おっと、失礼しました。盛り上げようと思ったのですが」

「勝手にやるので、もう帰ってください!! ありがとうございました!!」

「・・・そうですか~?では、また後で~」


ご主人はやっと出て行った…。


「なんだろうな、『また後で』って。」

「何か怖いですね……」

「さっさと食って風呂に行こうか」

「そうしましょう!!」


味わう事無く二人で急いで食べて、風呂に行く。

部屋には浴衣が用意してあった。こういうの良いよね。


風呂に行く途中には宴会場があった。中からは楽しそうな声が聞こえてくる。

襖が開いたので中を見ると、そこにはウエダさん一家とキジマ&コタニペアが居た……。

何でそこで食事してるの?!

ビックリしてると、ナミちゃんがこっちにやって来た。


「二人で部屋で食べるって聞いたけど、どうしたの?」


あの主人め~~~っ!!

また、やらかしてしまいました…。

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