3つの用件
のんびりしようとリビングに向かいかけたら、ヒタキさんに呼び止められた。
「福田様、お客様がお見えになっておられます」
「あっ、そうなの? 玄関?」
「いえ、リビングに通しております」
「ありゃ、待たせちゃったかな?」
急いでリビングに行くと、そこには王都のギルドマスターが居た……。
何で帰ってるの知ってるんだろう?
あっ、ヌマタ卿ルートか?
「おう、遅かったなぁ。待ってたぜ」
「あの~、何の御用でしょうか?」
「とりあえず、ギルドに行くぞ」
「えっ? 拒否権は……」
「無い」
ですよねー。
ギルドマスターにドナドナされて、ギルドに到着。
いつものようにギルドマスターの部屋に連れて行かれた。
「用件は3つだ」
「3つもですか……」
「何か文句でも?」
「いえ、大丈夫です。どうぞ」
逆らうよりも、早く全部聞いて終わらせた方が早いな。
苦情を言わずにさっさと終わらそう。
「まずは1つ目。
ドラゴンのダンジョンの報酬が出ている。受け取りに来いよ!」
「あ~、それですか。ミノタウロスのダンジョンのと一緒で良いかなと思いまして……」
「お前が受け取らないと、ギルドの儲けも受け取れないだろうが!」
「あっ、はい、すみません」
そんなの知らないよ!
多分不正防止にそうなってるんだろうけどさ。
律儀だけど、そのギルド本位の言い方はどうだろう?
「って事で報酬だ。受け取れ」
部屋にある金庫から紙袋を出して俺に渡してきた。
この中に報酬が入ってるんだろう。
面倒なので、そのままマジックボックスの中へ。
「おう、数えないのか?」
「マスターを信用してますよ」
確か1500万以上あるはずだ。
数えるなんてクソ面倒だよ。多分100万くらい抜かれてても気づかないわ。
「良し。じゃあ次の用件だ。
両方のダンジョンを突破したので、ギルドのランクが上がる。
今は黄色だったな。2つ上の赤になるからな。
同行した者を連れて明日にでも来い」
「同行者ですか?」
「おう。同行者も上がるからだ。受け取りは代理は認めない」
これは問題無い。
ランクが上がっても支障は無いはずだ。
でも一応聞いておこうか。
「赤になると何かありますか?」
「あぁ?! お前何も知らねぇな!
赤からは指名依頼を拒否する権利があるんだよ!
その代わり、強制依頼への参加も義務になるんだよ!」
「指名依頼? 強制依頼?」
「勉強しろよ!!
指名依頼は名指しでの依頼だ。これは拒否出来ないが赤以上になれば拒否出来るんだよ!
強制依頼ってのは、基本的には国からの依頼だ。
戦争以外で腕の立つ物が必要な時に出るんだよ!」
「戦争以外ですか。戦争は断るのですね」
「当たり前だ。冒険者は戦争する為に居るんじゃねぇからな」
「でもそれ以外って、何があります?」
「昔あったのは、大森林で遭難した者の捜索依頼。
兵士よりも慣れてるし、装備も充実してるからな」
「何で赤以上なんですか?」
「弱いヤツにそんな所に行かせたら死体が増えるだけだろうが!」
う~ん、なるほどねぇ。
拒否権は便利だけど、強制もあるのか……。
基本的にあまりギルドには行かないので、指名依頼が今まで無かった。
そもそも依頼をほとんど受けてないしね。
となると、赤じゃ無くても良いんじゃないか?
「あの~、俺、オレンジでも良いんですけど……」
「あぁ?!」
「赤ですね。了解しました」
怖いよ! ま、もし強制依頼が出そうな時は『コネクト』使って他の国にでも行っておこう。
国からの依頼なら、他国にまでは強制しないだろう。
「最後に、チハラの事だ」
ん? 誰? 知らないよ?




