帰宅しました
ジローは慌てて全部の報酬を用意してくれた。
一部を除き、ほとんどをマッジクボックスに直接入れてくれたのはありがたい。
タローもこういう気遣いを覚えると良いよ。
一部とはモンスターの情報の入ったUSBメモリーの事。
これもタローの時と同じ様に、団長に確認してもらった。
問題無しとなったので、これで帰る事が出来る。
「じゃあ帰るから」
「帰られるのでしたら入り口までお送りしましょうか?」
「いや、その方が面倒になるからいいよ」
「面倒とは?」
「馬車が無いからね。王都まで帰るのが大変なんだ。
ダンジョンからなら、魔法を使って帰るし」
「外で魔法を使ったらダメなのですか?」
「人間達の決まりで、禁止になってる魔法だからね」
「はぁ。そういう事ですか」
う~ん、ジローが親切だ。
これはこれで気持ち悪いな。
「なぁ。なんでそんなに親切なの?」
「えっ?! べべべ別に変わりは無いと思いますが」
「トラウマになってるのだろう」
「煩いぞ、タロー! トラウマになんかなってないわ!」
「じゃあ何で?」
「……その、写真が……」
「あぁ、これね」
「出さなくて良いですから!」
な~んだ、罠にかかってる写真を見られたく無いからか。
だが、トムさんは興味があるようで。
「写真? どんなの?」
「わーーーーーー!! ダメダメダメーーーーー!!」
「大丈夫だよ。見せたりしないよ」
そう言って、意味も無くニヤリと笑ってみた。
それを見たジローは、より一層へりくだってきた。
「福田様。何かご用命があれば、いつでも仰って下さい」
「ジローがそこまで言うなんて……。一体どんなハレンチな写真なのよ……」
「「ハレンチじゃ無いわ!!」」
用事も終わったので、さっさと帰るとしよう。
いつも通り、ガーに『転移板』を持ってもらい王都の家に帰る。
帰ってからガーを呼び出し、『転移板』を回収。
後は明日だね。
朝にタルーンさんの所に行くか。
あっ、でも今は居ないんだっけ?
今日の内に連絡しておいた方が良さそうだな。
ヒタキさんが丁度出かけるようだったので、
「明日タルーンさんの店に行こうと思うのですが、向こうの予定を聞いてもらえますか」と伝えた。
するとすぐにメイドを使いに出してくれた。
メイドさんが行くんだったなら、自分で行っても良かったのだが。
「いえ。それもメイドの仕事ですので。お気になさらず」
どうやら顔に出てたようだ。
先んじて釘を刺されてしまったよ……。
ついでなら頼むけど、わざわざ行ってもらうのはなぁ。
それが仕事と言われても、日本に住んでた者からするとちょっと……。
他にする事は何かあったかな?
あぁ、城に報告しなきゃ。
後、ギルドか。
……どちらももう面倒だなぁ。
仕事から家に帰ると、出たくなくなるよね。
明日でいいや。明日で。




