高レベルの秘密
ジローは話しかけても返事をしない。
と言うかビクビクしてるだけで、動かない。
よし、レベルアップタイム突入だ!
皆でチクチクと攻撃する。
外道な行為? 降参してないから問題無いでしょ!
って事で頑張ったが、10分後にタローからストップがかかった。
「もう良いだろ! ワシと同じで毒で喋れなくなっていると思われる!
なのでドクターストップだ! 終了! 終ー了ー!!」
強制的に終了させられてしまった。残念だ。
まぁ、全員のレベルが10上がったので良しとしようか。
だが、納得出来ない点もある!
全員が参加したのだよ、レベル上げに全員が!
なのに、全員から「引くわ~」って見られるっておかしいよね!!
あっ、モリタ君だけ「さすが師匠!」って目で見てるな……。
余計に心に刺さるのは何でだろうね?
「福田君、満足した?」
「おや、トムさん。本当はもう少しレベルを上げたかったんだけど、まぁ良いですよ」
「さすがに気の毒に思うから、止めてあげて」
そう言えばいがみ合っていたね。
それにしても、ここまでやってるのに死なないってどうなってるんだろ?
ちょっと聞いてみよう。
「いや~、それについては私達の秘密だから言いにくいねぇ」
「そうですか……では、教えてください」
「それでも聞くんだ……。まぁいいや。秘密だよ?」
「了~解です」
「軽いなぁ……。
あのね、私達は不死身なの。でもダメージを受けないんじゃなくて、死なないの。
HPが減らないんじゃなくて、減って1になったら全回復するのよ」
「でも、ココに死にそうなのが転がってますが?」
「全回復しても毒が消える訳じゃ無いもの。状態異常は解除するまで消えないのよ」
「じゃあ地獄の連鎖じゃないですか」
「そうよ。
でもね、そもそも、私達は毒なんか受けないハズなのよ。
その為に高レベルにしたんですもの」
「レベルが関係するんですか?」
「えぇ。モンスターはレベルが重要なのよ。
レベル1のモンスターの毒はレベル10のモンスターには10%くらいの確率で効くのよ」
「え~と、つまりレベルが1違うと10%くらい違いが出るって事ですか」
「正確には違うわね。毒攻撃が成功する確率が50%だとして、そこから減っていくのよ。
なのでレベル1で5%くらいの差が出るかしらね」
「って事はトムさんがレベル200なので、俺との差が150。
成功する確率は……マイナス?」
「そう。受けないハズ。なのにタローもジローも受けてる。
タローの時に不思議に思ってイイクラに聞いてみたの。
そしたら『状態異常は非常に効きにくいだけで、ならない訳ではない』と言われたわ。
つまりマイナスにはならずに、コンマ単位で下がるみたいね」
「0.001とかって事ですね。超低確率って事か~」
「そういう事ね。受け続けてればいつかは状態異常になるでしょうね。
福田君みたいに2~3回で成功する事は無いハズよ……」
「俺、運は強いですから!」
「それで覆せる事では本来無いはずなんだけどね……貴方の場合は信じられるわ」
そういう事なのか。
結局、どんなチートを手に入れてても、運が強い方が勝つって事だね!
そうだよなぁ。ラノベとかでチート持ちの人って、大体苦労してるもんな。
苦労しないと話が進まないってのもあるんだろうけど。
だから主人公は皆、自重するんだね。
巻き込まれたら対処出来ないから。
えっ? 俺もだって?
巻き込まれても対処するよ。
絶対にイヤな事なら断るし。断り切る自信もあるよ!
むしろ、無理強いしてくるなら、滅ぼしてやるぜ! フハハハハ!!
「福田君。悪い顔してないでさ、いい加減毒を解除してあげないかな?」
あっ、はい。そうですね。




