3つの条件
「で、そのジローさんはどうしたいのかな?」
「……」
「まだ落ち込んでるんですか? 送ってませんよ、メールなんて」
「……マジで?」
「マジです」
「……本当に?」
「本当です」
「……フハハハハ! 我、復活せり!!」
復活されましたか。
まぁ、もう威厳とか無いですけどね。
「で、どうしたいのかな?」
「ふん! 我と戦え!」
「なるほど。お断りです」
「よし、では戦おうか……はぁ?! 断るの?!」
「断ります」
「断るのかよっ?!」
「断りますよ、メリットが無い」
何でボスと戦わなくちゃいけないんだ。
俺はただ、モンスターの情報が欲しいだけだ。
はっきり言ってボスに興味無し。
「メリット?! 普通ダンジョンに来た冒険者はボス倒すのが狙いだろ?!」
「えっ? そうかな? モリタ君や団長はどう思う?」
「えっと、基本的にダンジョンにはドロップ品を取りに来てると思います」
「このダンジョンなら採掘もありますな。」
やっぱりそうだよね。
生活の為に来てるよな。
しかもボス倒してコア壊したらダンジョン消滅だよ?
周辺に住んでる人の生活が終わっちゃうよ?
「つまり、誰もボスを狙ってないと?」
「ボスを倒しにいくのは名声が欲しい者くらいですな」
「そう! 名声! お前は欲しくないのか?!」
「いらないです。欲しくないです。必要ないです。意味が無いです」
「そんなに否定しなくても……」
否定するさ。
メリット無しで、デメリットだらけ。
これで誰がチャレンジする?
しかも俺は知っている。
死者を集める場所のボスは死なないって事を。
攻略不可能じゃん。
なのに挑む? バカだろ?!
「じゃあ、どうしたら戦ってくれるのだ!」
「そうですねぇ。条件は3つあります」
「そ・そんなにか?!」
「ええ。3つとも許可してくれないなら戦いません」
「せめて2つにならないか?!」
「写真、どうしますか? メールしますか?」
「ぐぅ……3つだったな……わ・判った許可しよう」
これなら何とかなるだろ。
「では。まずは1つ目です。どちらかが降参したらその時点で終了」
「判った。我が降参する事は無いがな」
「2つ目。そちらからの攻撃は禁止。こっちの防御は紙なので」
「攻撃禁止?! それはおかしくないか?!」
「防御はOKですよ。こっちは体力が切れれば降参します」
「むうぅぅぅ……きょ・許可しよう」
「最後に、こちらのメンバーですが、俺・コタニさん・ナグラさん・ムカイ団長・ミーちゃん・モリタ君。
そして俺の従魔」
「それはお前達のパーティーなのだろ? それは言われなくとも許可するぞ」
「そうですか。その3つです。再度聞きますが、全て許可ですよね?」
「うむ。全て許可しよう」
よし。勝ったな。
だって、攻撃されないし従魔許可だぜ?
従魔許可って事はシロが使えるって事だ。
それに最終的にはトムさんが投入出来る。
はっはっは、トムさんが従魔って知らないのだろう。バカだね。
じゃあ、戦おうか。




