弟子
やっと解放されて、ダンジョンに戻った。
戻って気づいたのだが、モリタ君は依頼はどうする気なんだろうか?
「モリタ君、依頼はどうするの?」
「あの依頼は定期的にある期日が決められていない物なんですよ。
なので、受けると言うよりも、道中で拾ったのを届ける感じですね。
今回持っていけばギルドランクが上がったと思いますが、こうなった以上は急ぎませんので」
「あっ、そうなの。で、これからはどうするの?」
「福田さんに同行したいと思います。……ダメでしょうか?」
「ん? 別に良いよ」
「ありがとうございます。それとですね、もう一つお願いが……」
何だろう。言いにくそうだ。
あっ、アレか。同行するんだからメシをどうするかって事か。
俺が許可したのだから、メシくらい出すよ?
宿もどうせ俺の家なんだしさ。
「言ってみなよ。大した事じゃないだろ?」
「……判りました。……し」
「し?」
「師匠と呼ばせてください!」
はぁ?! 何言ってんの?!
レベル40の人間に弟子入りするな!
皆も笑ってないで助けろよ!!
あっ、ミーちゃんだけ笑ってないや。笑うよりもモリタ君を哀れむような視線を送っている。
お前が一番失礼だな!
「え~と、何で師匠なのかな?」
「僕も貴方の様に強くなりたいのです!」
「俺、強くないよ?」
「ご謙遜を。全て聞きましたよ?」
何を聞いたのだろう?
聞いてみたいが、聞きたくない……。
俺が強いとしよう。
だが、それは弟子入りしてどうにかなるものだろうか? いや、ならない。
だって俺の強さってさ、従魔によるものと、運によるものと、武器によるものだぜ?
本当に強くなりたければ、ムカイ団長に鍛えてもらうのが早いと思う。
「何を聞いたのか知らないけどさ、全て偶然だからね?」
「強い人は運も味方につけるのです!」
あぁ、そんな事もあるねぇ。
例えば、負ける直前で別れた仲間が助けに来るとか、新たな能力に目覚めるとか。
確かにそういう人は運が強いのかもしれない。
でも俺の場合、運が強いって所からスタートだからなぁ。
この後、色々説明したが一向に引く事が無かったので諦めた。
さすが実力主義の国の人、「結果勝つ=強い=尊敬」となってるようだ。
何かドッと疲れたので、今日は探索は止めた。
さっさと6階に行く階段まで行き、家に帰る。
それまでもモリタ君はずっと興奮状態。
運を使い敵が出ないようにしたのだが、それを「俺の強さにモンスターがビビッて出ない」と勘違いしてた。
家に着いても興奮状態。
さすがにウザいので、分散させようと画策。
「ナグラさんはさ、戦う為の『技術』を15個も持っているんだよ。凄いよね~」
「あっ! 何をバラしてるのよ!!」
「……凄い! ナグラ師匠!!」
「うわっ! こっちにまで来た!! こうなったら……。
ここに居るコタニさんはね、『短剣術』と『投擲』の『技術』を持っているのよ。
それでドラゴンと戦っていたわ! 凄いよね~!」
「……素晴らしいです。コタニ師匠!!」
「とばっちりっス!!」
よしよし、これで皆師匠だよ。
誰も教えてあげないだろうけど。




