続むか~しむかし
俺はそいつの目的を考えてるのに、ナグラさんはモリタ君の結果が気になるようだ。
もうちょっと興味を持ってやれよ、黒幕にさ。
もしこの場に居たら、拗ねるぞ?
「当然の事ですが、城では大騒ぎになりました。
国宝級の武具が無くなったのですから。そして裸で帰ってきた僕。誰が見ても容疑者が判るでしょう」
「当然よね~。で?」
「すぐに父、王の所に連れて行かれ、全てを聞かれました」
「で、全部喋ったと」
「はい。そして先ほどの言葉を言われました。
『武具を没収されたのはお前のせいだ。唆されたお前が悪い。お前が取り戻して来い。この国の人間を使う事は許さん』と。
そして、先ほどは言いませんでしたが、この言葉には続きがあるのです」
「何何?」
「それは、
『唆したヤツの事だが、罪には問わん。何故ならお前の言っている事が事実か判らないからだ。
お前が唆されたと言うのであれば、お前がソイツを探して連れて来い』です。
手紙も燃やしてしまったので証拠が何も無い事が災いしました。それを狙ってたのでしょうが」
「なるほどね~」
おいおい、なるほどね~で終わらすなよ。
悲劇だったじゃねぇか。
「なので僕は、国を出て冒険者になりました。
レベルを上げつつ“試練のダンジョン”への協力者を探す。
そして、ヤツを探しています」
「情報は有ったの?」
「それが……北に行ったという事までは判っているのですが……」
それ、何も判って無いのと同じじゃね?
北に行ったからって、国を出たかも判らないし。
それに北に進み国を出たとして、ニーベル国に居るとは限らないし。
それを探す?! 不可能に近いぜ?! ホームズ級の天才でも無い限りさ。
あっ、コ○ン程度じゃダメだよ? すぐ死人が出るから。 解決は力技だし。
あれっ? 待てよ? 俺ならもしかしたら発見可能なんじゃね?
運を使えば、偶然出会いそうな気がする……。
「さて、話は全部聞いたけど。どうするの、福田さん?」
「えっ? どうするって?」
「協力するかしないのか」
「協力しても良いけど、今のダンジョン探索が終わってからになるよ?
それでも良いなら」
「お願いします!!」
「了~解」
ミノタウロスのダンジョンが終われば、別に用事は無いしな。
コルラド国にも国宝級の武具ってのにも興味あるし。
試練のダンジョンだっけ? それにも行ってみたい。
それにミノタウロスのダンジョンが終われば、納得してない団長は付いてこないだろうし。
怒ってたのは団長だけだしね。
「で、皆はどうするの?」
「えっ、福田さんが行くなら行くわよ。別行動は許されないだろうしね」
「私も護衛なので行くっスよ」
「私も君と一緒じゃないとダメのようだからね。付いて行くよ」
「じゃあ決まりだね」
「ありがとうございます!」
今後の予定は決まった。
次はコルラド国か。こっちには無い美味しい物があれば良いな。
何て考えてたら、ナグラさんから質問が出た。
「カンダさんとキジマさんはどうするのよ?」
「あ~忘れてた。馬車も要るだろうし、後で連絡してみるよ」
さっ、ダンジョンに戻ろうかね。




