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むか~しむかし

モリタ君は観念したのか、しぶしぶ話し始めた。

大丈夫! これ以上恥を晒しても変わらないから!


「実は僕は当時10歳だったのです」

「若い! そして無謀!」

「そう……、どう考えても無謀ですよね。レベル10の10歳が国宝級の武具を持った所でクリア出来るはずがない。

 でも当時の僕はそれすら判らなかったんです」

「ふむふむ。続けて続けて」

「僕には当時剣を教えてくれる先生が付いていました。

 その先生に7歳の時からずっと習っていました」

「ほうほう。で?」

「その先生がダンジョンで怪我をしまして。冒険者に助けられて帰ってきました。

 その時に助けた人が代わりに僕に剣を教えてくれるようになったのです」

「ふ~ん……。で、その人に何か言われた訳だ」

「はい。『君には才能がある! 秘密の技を教えよう!』と言われました」

「胡散臭くなってきたなぁ……。

 って、皆でお茶してるんじゃない! 物語を聞いてるんじゃないんだぞ?!」


何を家でドラマを見てるみたいに寛いでるんだよ!

と言うか、俺も混ぜろよ!!

いつの間にか王様まで居るしさぁ。

真面目に聞いてるのって、俺と団長だけじゃないか!


結局、モリタ君も座らせてお茶しながらの独白です。

……絞まらないなぁ。


「ささっ、続きをどうぞ!」

「そんなんで喋れるか! さてはこのお茶会を仕込んだのはナグラさん、お前だな!」

「子供の私は『秘密』という言葉に心を躍らせました」

「喋ったよ、この人! 案外心が強いな!」

「福田さん、うるさい! 今、良い所なんだから静かにして!」


うわ~、完全に観覧モードだよ……。

俺が悪いみたいになってるし。


「結局誘惑に負けて、秘密の技を習いました。秘密だからという事で、誰も見ていない時にこっそりとですが。

 そして、2週間が経過した時に言われました。『凄い才能だ! もう君は秘密の技を自分の物にしたね!』と」

「褒めまくってるね~。で? で?」

「褒められた僕は有頂天でした。

 そして『君は免許皆伝だ! もう教える事は無いよ!』と言われました。

 それで完全に調子に乗ったのです」

「まぁ10歳だからねぇ」

「その人は教える事が無いから去ると言われました。

 そして去る前に私に手紙を渡したのです」

「おっ! とうとう佳境だね! 何て書いてあったの?!」

「『これは秘密の話だ。読んだら焼いて捨ててくれ。

  教えた技だが、実は普通の武具では力を発揮しない。

  その技が力を発揮するのは、王家が持っている武具“セイント”を装備した時だけだ。

  君ならセイントを装備すれば“試練のダンジョン”もクリア出来るだろう。

  レベル10で10歳の君がクリアすれば、歴史に名を残すだろうね。

  陰ながら応援しているよ。』

 これが手紙の内容です。勿論すぐに焼いて捨てましたので残っていませんが」

「……それって」

「はいはい。福田さんは言いたい事あるんでしょうけど、黙ってましょうね~」


言わせろよ!

だってそれって、物凄く怪しいじゃん!

ツッコミたいわ!!


「良いから黙ってて! それでチャレンジしたんだ」

「……はい。保管庫からこっそり持ち出して、装備してダンジョンに向かいました。

 勿論1階のボスにすら勝てるわけ無く、没収された上に放り出されました」

「技は? 技はどうだったの?!」

「通用しませんでした。何かが発動する事もありませんでした……。

 これが武具を没収された時の全てです……」


……なんと言ったら良いやら。

お気の毒ですとしか言い様が無いわ。

はっきり言って、完全に騙されてます。ご愁傷様です。


でも思ったんだけど、そいつは何が目的だったんだろ?

そのセイントって言う武具? だとしたら持ち出した時にパクらないと意味無いよな?

武具を封印したかった? でもモリタ君が再チャレンジして成功したら帰って来るんだろ?

謎だ……。

ヤバい! モリタ君の話が終わらない!!

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