揉め事
助けたパーティーは毒が抜け怪我が治ったようで、話しかけてきた。
あの時出会った人がリーダーのようだ。
「助けてくれてありがとう。僕はモリタ。ギルドレベルは黄緑なんだ。
一応このパーティーのリーダーをしている。よろしく」
「俺はこのパーティーのリーダー?の福田。ギルドレベルは黄色。よろしく!」
「何で疑問系なんだい?」
「いや、リーダーとか決めてなかったな~と思ってさ」
「そうなのか? まぁそう言っても、僕達も臨時のパーティーだから僕も仮のリーダーなんだけどさ」
「臨時? じゃあ本当は?」
「僕はソロなんだよ」
「へ~~~」
モリタと話してたら、他のメンバーもやってきてお礼を言ってきた。
その後、俺も入れてモリタと話し合いに。
「福田さんはこの後どうするんですか?」
「この階の採掘場所に行く予定かな?」
「……そうなんですか。モリタはどうする?」
「どうするって?」
「依頼だよ。お前が取ってきたじゃないか。
俺達は落とし穴に落ちたヤツを助けに行こうと思う。助けた後は一旦帰るぞ?」
「じゃあ俺も行くよ」
「いや、お前は依頼を完遂しに行った方が良いんじゃないか?
これを完遂すればギルドレベルが上がるんだろ?」
「そうだけど、俺も助けに行くよ!」
「アイツはそう簡単に死なないさ。気にするなよ。
それよりも福田さん達が採掘場所に行くって行ってるんだ。同行させてもらえば良いじゃないか。
どうですか、福田さん?」
「えっ? 別に良いけどさ。助けに行くのを手伝わなくて良いの?」
「こっちは大丈夫ですよ。4階ですし。3人でもなんとかなります」
「でも!」
「良いから。黄色になりたかったんだろ?
これを失敗すると、また遠ざかるんだぞ?」
なにやらもめてるなぁ。
えっと、モリタは黄色になりたい。でも助けにも行きたい。
他のメンバーは、依頼は失敗でも助けに行く。モリタはソロで依頼を完遂しろ。
って事か。
う~ん、俺に言わせれば、もめてる時間があるなら全員で助けに行けば良いと思うんだが。
どちらも相手を思いやって話してるから、平行線なんだよね。
あぁ! もう鬱陶しいわ!
俺はこいつらに「スリープ」の魔法を使う。
するとすぐに眠ってしまった。怪我の回復後だったからか、効きが早い。
「ちょっと! 眠らせてどうするのよ?!」
「いや、うるさかったから」
「そういう問題じゃないでしょ!」
「落ちた人の事だろ? 俺が助けに行ってくるよ。
マップがあるからすぐに発見出来るからね」
「同行じゃダメなの?」
「マップの事は知られない方が良くない?」
「……まあ、確かに」
「皆はここで待っててよ」
「1人で大丈夫なの?」
「いや、1人じゃ行かないよ。ほらチョロとガーが一緒だから。
いざとなればトムさんを呼べば」
「そうね。じゃあ待ってるわ」
「あっ、そいつらにまたスリープかけといて。起きたらうるさいし」
「了解。じゃあ、ヒヨは預かっておくわ」
「あっ、そうそう。帰りは『コネクト』使うから。これ持ってて」
俺は転移板をナグラさんに渡して、待機してたチョロとガーと一緒に4階へ向かう。
移動はガーに乗せてもらった。
チョロはマップを見ながら誘導だ。
従魔同士は喋らなくても伝わるようで、あっと言う間に4階に到着。
動かない黄色い点が1つあったので、そこを目指す。
5分ほどで到着したので、陰からこっそりとスリープを使う。
眠った所を確保。うん、足を骨折してるようだ。
さて、帰るか。
転移板をチョロに預けて『コネクト』で皆の所に戻る。
後はチョロを呼び出して回収完了!
見られたくない事だらけだね。眠らせて正解!




