物見櫓?
注文した品物は明日にでもマジックボックスの中に入ると思う。
楽しみに思いながら、オオキの村に戻る。
ここから半日進めば石井の町だ。
今日はウエダさんの所に泊まる事になった。
カジノに行きたそうな顔をしてたが無視だ無視。
ちなみに、団長とミーちゃんは宿屋に泊まるそうだ。
御者の人は馬車で寝るらしい。馬の世話等があるからだそう。
まぁ、あの馬車なら快適だと思うが。
翌日、カジノに行きたいウエダさんに捕まらないように、早めに出発。
半日かかる道のりだが、ゆっくりなので暗くなる頃に到着した。
石井の町は、町と言うだけあってオオキの村よりも大きい。
何よりも他と違うのは、町の山寄りの方に高い塔が作られている事だ。
これが海岸沿いなら、灯台と勘違いしそうな物だ。
モンスターや獣を警戒する為にあるのか? 兵士のような人が入り口に立ってるし。
兵士といえばムカイ団長だ。
理由を聞いてみた。
「あれは警戒の為の物見櫓ですか?」
「違いますよ。あれはマップ作成所です」
「マップ作成所?」
「そうです。ここが地上にあるダンジョンってのは知ってますよね?」
「えぇ。1日1回変わるそうですね」
「そうです。マップ作成所からは地上1階の迷路が見えるのですよ」
「見えるんですか?!」
「ええ。その為に高く作ってありますので。
1階部分には鉱物が取れる所があります。そこまでのルートが重要なので、毎日見て書くのです。
それを鉱物を取りに行く者に渡しています。
マップを作って渡す。それがそこの仕事です」
「何で国が管理してるんですか?」
「昔は民間がやってました。
木で組んで櫓にしてましたね。
しかし、壊れて死傷者が出ました。
それに地図を作って売るのですが、値段が高かったり適当だったりとひどかったのですよ。
なので国が管理する事になりました。1階の地図は福田さんも買えますよ」
「そうだったんですね」
まぁ、売れると判れば誰もが始めるよね。
だが、それのせいで、鉱物を取りに行く人が死んだりしちゃ問題だわな。
マップの値段が高くなれば、鉱物の値段も上がるだろうし。
国が管理するようになるのは必然か。
俺はもう買う必要は無いけれど。
ムカイ団長が兵士の人にオススメの宿を聞いてきてくれた。
今日だけ泊まって、明日からはダンジョン内だ。
まぁ、夕方には家に帰るんだけど。
明日の昼には荷物も到着するだろう。昼は久々に袋麺だぜ!
ちなみに御者の人も今日は泊まって帰るそうだ。今帰っても危ないしね。
帰りは護衛に冒険者を雇うらしい。
なので今からギルドに向かうと言うので、宿を取るのは女性陣&団長&ミーちゃんに任せて付いて行く事に。
宿の場所は聞いておいたので大丈夫。
ギルドに到着すると、冒険者でごった返していた。
夕方だからしょうがないよな。
その間を抜け御者の人は受付に行った。慣れてるなぁ。
俺はここの依頼を見に来たのだ。
でも受ける気は無い。どんな依頼があるのか見てみたかっただけなんだよ。
手持ちの物でいらない物ならば、もし欲しいという依頼があれば出しても良いし。
依頼が張ってあるボードを見に行く。
う~ん、これと言って面白い物は無いなぁ。
気になるのは「5階で取れる魔石を10個」くらいかな?
5階で魔石が取れるんだ~。覚えてたら採取してみようかな?
そもそも張ってある枚数が少ない。
やはり朝に依頼を受けて出かけるのが一般的だよね。
時間のロスが少ないもん。
だから夕方に依頼が張ってあるのって、余り物なのか?
でも、今依頼してる馬車の護衛は張り出されるだろう。
って事は、張ってあるのは、朝以降に出た依頼・余った依頼・緊急性の依頼、このどれかだろうな。
そう思いながら見てると、いかにも冒険者っていう格好の男がボードを見にやってきた。年は俺と同じくらいだろうか。
しっかりした防具と使い込まれたように見える鞘に入った長剣。
これぞ、冒険者!
それに比べると俺は、どちらかと言えば依頼人だよなー。
その男は俺をちらっと見たが、別に絡んでくる訳でも無くそのままボードを見てる。
おぉ! テンプレ回避だね!
行く先々のギルドで絡まれるってのはテンプレでありそうだから、絡まれると思ったよ。
と言っても絡みそうな人には見えないけど。
御者の人は依頼が出せたようで、こちらに来たので一緒に宿まで帰った。




