青天の霹靂
さて中級魔法も覚えたし、次は上級だ!
と行きたい所だが、時刻はもうすぐ昼。
ハズキ君との約束もあるので、さすがに帰る事にしよう。
城を出てホウズキさんの家に向かう。
途中で美味しそうな弁当を売っている店があったので、10人分ほど買っておいた。
1人1個でも余るけど、残しておいても問題無いし。
もしかしたら昼食が用意されてるかもしれないが、それも問題無し。
だが、問題は弁当の数では無かった……。
ホウズキさんの家に行くと、1人の女性が来ていた。
腰くらいまである長い黒髪、どちらかと言えば可愛いと言われるだろう整った顔、なかなかのナイスバディ。
うん、総評すると美人だ。
ホウズキさんに用事があって来たのかと思いきや、キラキラした目でこっちに向かってきた。
うん、この目には出会った事があるな。しかもつい2時間ほど前に。
「福田様ですね!」
「うん、あぁ、はい、そうですけど」
「福田様ですよね!」
「うん、あぁ、はい、そうですけど」
「結婚してください!!」
「うん、あぁ、はい、そ・えええええぇ~~~~~!」
何事だ?! いきなり求愛、いやプロポーズされたぞ?!
自慢じゃないが、モテた事など無いぞ! ありえないわ!!
自分でありえないとか言っちゃった。ヘコムわ~。
あまりの事に、周りの人達(ハズキ君含む)が唖然としている。
俺もしてるんだけど。
その中でナグラさんが立ち直ったようで、その女性に質問し出した。
「えっと……まず、どちらさん?」
「あっ、すみません! 申し遅れました。私はメノウと申します」
「メノウさんですか。で、えっと……」
「あぁ、公爵家の娘さんかね?」
「はい、そうです、ホウズキ様」
「知っているんですか?」
「学校に通っていた子なら大体知っておるよ」
なるほど、ホウズキさんが先生をしてた時に通っていた生徒さんか。
しかし公爵家の娘か~。えらい所の子から求愛されたもんだ。
「ちょっと、何を他人事のような顔をしてるのよ! 貴方の問題でしょ?!」
「ん? そうだったかな?」
「現実逃避は止めなさい!!」
ナグラさんのチョップが俺の脳天に突き刺さった。
痛い。だが、現実世界に戻ってきた。
えらいこっちゃ! どうしよう?!
「で、メノウさんはどうして福田さんに求婚されたのですか?」
「福田様は素晴らしい御方なのです!」
「……あの~、その事は知ってます。城で聞きましたので」
「そうですか……。お話したかったのですが……」
「福田さんは素晴らしい、それはそれとして、求婚の話をですね……」
「長くなりますよ?」
「大丈夫です。多分……」
「ではお話致します」
「いやいや、玄関先で話さなくても良かろう。リビングで話せば良いではないか」
ホウズキさんの提案により、リビングで話を聞く事となった。
ナグラさん、優秀だわ~。
俺なんか、いまだに半分は機能停止してるってのに。
のんびりリビングに向かってると、コタニさんに後ろから押された。
何でそんなに皆、話を聞きたいのだろうか?
そんな事よりも、ハズキ君とイチゴを買いに行く予定が……。
骨折をして3週間……とうとう、ギプスが取れました!!
砕けた骨はちゃんとその場に留まってたらしく、経過は順調だそうでした!
まぁ、まだ腫れていて、タイピングは難しいですけどね……。
包帯が無くなっただけでもありがたいです。
健康って大事ですね!




