王都のギルドへ
狼とは遭遇したくないので、さっさと6階に向かう事にした。
道中は簡単に『~が2匹だけ出て来い!』と願っておく。
これでノーマルとレアは調べる事が出来る。
勿論ノーマルを出す担当はミーちゃん。ムカイ団長がサポートしてるので大丈夫だろ。
問題は狼だ。どうやって調べる?
いや、調べたくは無い。調べるには倒さないといけないのだから。
だが調べない訳にはいかない。団長も居るし。
だが、道中にチャンスがやってきた!
女性陣がトイレに行くと言い出したのだ!
と言っても物陰でするのではない。『コネクト』で家に帰りトイレに行くのだ。
今しかないと思ったね。
「ついでにムカイ団長もトイレに行かれてはどうですか?」
「そうですな。ちょっと行ってきますか。福田さんはどうします?」
「全員が一度に行く訳にもいかないので、皆が帰ってきたら行きますよ。お先にどうぞ」
「そうですか。判りました」
これで団長が見てない時間が出来た!
5分ほどで全員が帰ってきた。
今の内に団長には報告しておく。
「皆が戻った時に狼が2匹出ましてね。
倒したらノーマルドロップの「狼の牙」と、レアドロップの「狼の毛皮」が出ました」
「大丈夫でしたか?!」
「ええ、問題ありませんよ」
「そうですか。ドロップ品は以前と変わらないですね」
「変わらないですか。了解です」
よし、成功!
ドロップ品を見せろと言われなくて良かったよ。
今日帰ったら、ギルドに行って依頼を出そう。
内容は勿論『「狼の牙」と「狼の毛皮」を1つづつ持って来て欲しい』だ。
万が一提出となったらマズいからね。
それから30分後、6階に向かう階段に到着した。
現在の時刻は16時半。今日はこの辺りで帰るとしよう。
ギルドにも用事があるし。
階段の近くにあった岩の陰に『コネクト用のミスリル板』を設置し帰宅。
誰も来ないと思うけど、一応用心の為に見えない所に置いた。
「う~む、やはり『コネクト』で帰れるのは便利ですなぁ……」
あっという間に王都まで帰って来た事に、えらく感動されている。
トイレの時はカジノの町だったからね。
ムカイ団長はダンジョンに行ってる事になってるので、出歩かない様に言ってある。
カジノの町ならまだしも、王都じゃあ知り合いが多いだろうし。
だから俺が今からギルドに行っても付いて来ないのだ!
それを考えて王都に戻ったんだよね。
って事で早速ギルドへ。
入り口まで来てから思いついたんだが、ギルドマスターだけには会わないようにしないとな。
『コネクト』の事は知らないだろうし、今はダンジョンに居る事になってるし。
しまったなぁ。もっと別の町にすれば良かったか?
でも『門のシール』がある所は少ないし……。
意外に不便だなぁ。
まてよ? タルーンさんに頼んだ方が良いんじゃないか?!
うん! 名案だ! そうしよう!
見事な閃きが出たので、引き返してタルーンさんの店に向かう事にした。
そう考えて振り返ると、そこには冒険者だとは思うがチンピラのような3人組が立っていた。
「おう、兄ちゃん。見ない顔だなぁ」
「なったばっかなんじゃねぇか?」
「そんなヒョロいのに大丈夫か~。ヒャヒャヒャ!」
おいおい、こんな所でテンプレかよ……。




