詰問?
「私たちはサイラス国の者です」
あれっ? あっさり喋ったな。
あぁ、思い出した。そういえば貴族と共謀してちゃんと入国してきたんだったっけ。
ノートルダムの外交官と勘違いしてたわ。
そこら辺を突かれると思ってるのかな?
残念だが、その辺りは詳しく無いので突っ込めない。
なので他の質問をするとしよう。
「そうですか。ではナグラさんもサイラス国出身で?」
「いえ、違います。出身地は知りませんね」
ちっ。これも事実か。
王から聞かされてないんだろうな。
まぁ聞いても異世界の日本だから、知らないし。
う~ん、どんな質問をしたらボロを出すだろうか?
あっ、そうだ!
俺の運を使ったらどうだろうか?
試しに『こいつら、自分達に不利な情報話さないかな?』と願ってみた。
その上で質問してみる。
「そうですか。ではここのダンジョンに何の用で?」
「……ダンジョンコアが欲しくて」
おっ! なかなかの答えじゃないか。
これが運の力なのかは判らないけどさ。
ウソついたらバレるって知ってるしな。
「何故、自国のダンジョンではないのですか?」
「……自国では禁止されてますので」
「この国はどうですか? ムカイ団長」
「禁止まではされてはいませんな。奨励もされてませんが」
そうなのか。
まぁドロップ品で潤ってる面があるからだろう。
だがダンジョンコアは高級品。狙ってる人もいるだろう。
命を天秤にかけるほどか?とは思うけど。
「コアが入手出来たとして、この国に売るんですね?」
「……違います」
「では自国で売るのですか?」
「……違います」
「じゃあどうするのです」
「売りません」
「何っ?!」
やっとハメる事が出来たぜ。
ダンジョンにあるダンジョンコアは、ダンジョンのある国に売らなければならない。
これが世界共通の決まりだ。なのに自国にもこの国にも売らないと言う。
そこにムカイ団長は反応した。
そりゃこの国には売らないだろうさ。持って帰るのが目的だからね。
もし許されるとしても、自国でも売らないだろう。売ると言うより献上するんだもん。
そうなると他の国に売るのか?
何処の国が買ってくれる? 買ってくれたとして国際問題になるぞ?
売らない理由が判らない。
「売る目的も無しにダンジョンコアを狙う理由は?」
「……」
とうとう沈黙しちゃったよ。
まあ、ウソにはならない言い訳を考えてるのかも知れないけど、時間オーバーです。
「この者達は怪しいな。
ちょっと詳しく話を聞こうか。兵士の詰め所まで同行してもらおうか」
ムカイ団長が指示を出し、4人は兵士に連れられて行った。
これで憂いは無くなったわ。
良し! 今度こそダンジョン突入だ!




