入り口にて
翌朝ダンジョンに行ってみると、入り口を塞いでいた大岩が無くなり解放されていた。
さすがトムさん! どうやって説得したのかは知りたくないけど。
早速探索に行こうとしたら、入り口で兵士に止められた。
どうも聞いてみると、入ってる時に封鎖されたら危険なので、今は入れないとの事。
前回の時は、封鎖された時に入ってた人達は、外に転送されたらしい。
だが、今回もそうなるとは限らないからだそうだ。
俺達は事情を知ってるから問題無く入れると判ってるが、知らない人には恐怖だよな。
しかも封鎖なんかされたことの無いダンジョンが突然封鎖だもん。
ちなみに、ダンジョンコアが壊されたりした場合は、ただの洞窟になるだけだそうだ。
構造も同じなまま。モンスターが出なくなるだけだ。
代わりに獣が住み着く事はあるらしいが。
なので、封鎖なんて非常事態としか考えられないんだろう。
おのれタロー!!
困ってるとムカイ団長が前に出てきて、兵士に話しかけた。
「任務ご苦労である。ニーベル国軍騎士団団長のムカイだ」
「ム・ムカイ団長!! これは、ご苦労様です!!」
「君達の所にも連絡が入ってると思うが、こちらの方が今回ダンジョン目録作成大臣に任命された福田さんだ」
「はっ! 聞いております!」
「福田さん、任命書を見せてあげないかな?」
俺は貰ってた任命書を、兵士の方に渡す。
兵士はそれを見て確認してから、俺に返してきた。
「確認いたしました! ご苦労様です!」
「うむ。で、通してはくれないかね?」
「安全が確認されていないので、2~3日待って貰えないでしょうか?」
「と、言う事だが、福田さんどうしますか?」
俺なら封鎖されても脱出は容易だ。『コネクト』で帰れば良いからね。
でも、それを兵士に言う訳にはいかない。
どうしたものかなぁ……。
「う~ん、早く行きたいんですけどねぇ……」
「そうですか。判りました。
君、悪いがヌマタ卿に連絡してもらえないかね?」
「はっ! 判りました! 少々お待ち下さい!」
「お願いするよ。
さっ、福田さん。今の内にヌマタ卿に許可を取る『メール』を送って!」
あぁ、なるほど。
俺は急いで『ダンジョン封鎖が無くなりました。俺達は大丈夫なので特例で入れてください!』とメールした。
すると1分後にネモト卿から『了解しました』と返事が来た。
10分程待っていると、先ほどの兵士が帰ってきた。
「お待たせしました!
ヌマタ卿に確認した所、福田様ご一行は封鎖されても帰還できるほどの能力を持っていると言われました。
そして入る許可を出すように、とも。
どうぞ、お通り下さい!
ただ、安全の確認の為に、少しだけ兵を同行させてもらってもよろしいでしょうか?」
「それくらいなら問題無い。どうですかな、福田さん?」
「そうですね。良いですよ」
「ありがとうございます!」
こうして入る許可が出た。やっと入れるよ。
兵には昼くらいに引き返してもらおう。
マジックボックスから昼飯出したり、夕方に家に帰る所なんか見られたくないからな。
前に来た時は目的の場所まで一気に行ったからね。
今回はじっくり進むぜ! 途中まではナグラさんが道を覚えてるらしいし。




