罪悪感
ミーちゃんは現在マイナス90ポイントだ。
アホは油断するとすぐに暴走するね。
「おい、順番に紹介するぞ。聞いとけよ」
「痛いじゃないか! 判ったよ!」
頭に拳骨を食らわして正気に戻しておいた。
いつまでも暴走されてても話が出来ないし。
某人型兵器みたいに強くなられても困るしな。
「皆、こいつはミズウミ。気軽にミーちゃんと呼べばいいよ。
イヤならズウでも可」
「人を動物園みたいに言うな!」
いいじゃないか。珍獣なんだし?
出来れば檻に入れておきたいくらいだ。
「で、こっちに居るのがカンダさんだ。隣に居るのがキジマさん。
この二人は結婚したから。ちょっかい出さないように。
二人は赤色の冒険者で、俺の護衛をしてるんだ。
あぁ、カンダさんは近い内に爆ぜるから」
「爆ぜるのか?!」
「爆ぜませんよ?!」
おかしいな?
呪ってるから近い内に爆ぜるハズなんだが。
「こちらはコタニさん。この人も俺の護衛ね」
「よ・よろしくっス」
「で、こっちがナグラさん。訳合って、俺が保護してる。
二人にちょっかい出したら、ロリコンズウって呼ぶからな?」
「ロリコンじゃないし、ズウは止めろ!」
「で、こちらがヒタキさん。この家の執事をしてもらってる。
お前の教育係だからね」
「はぁっ?!」
「何も聞いてませんが。どういう事でしょうか?」
「ちょっと聞いてよ、ヒタキさん。こいつ、箱入り息子でさ。常識が無いんだよ。
悪いけど、新しく入ったメイドと共に教育してやってくれないかな?
今日だけで良いからさ!」
「そうですか。判りました」
「何を勝手に話を進めてるのさ!」
「最後に、メイドABCね。Cは昨日来たばかりだから。
メイドに手を出したら、死ぬような目にあわせて強制送還するからな」
「それ、死んでるよね?!」
「紹介は以上!
じゃあヒタキさん、早速よろしく!」
「判りました。ではミーちゃんさん、行きましょうか」
「もうミーちゃんって言われてる?! ちょっと待って! ちょ……」
ヒタキさんに速攻で捕まり、強制的に連れて行かれた。
今日1日で、この世界の事を覚える事だろう。
ハズキ君の家庭教師をしてたくらいだ。完璧に教えてくれるだろう。
「何だったんスか、あれ?」
「あ~、ICPO絡みだよ。そこのトップの人の息子。
アホなドラ息子だから、教育してくれって半強制的に預けられたんだ……。
皆にも迷惑をかけるかもしれないけど、許してやって欲しい。
根は良いやつ(?)なんだ。多分。きっと。おそらく。だったらいいな」
「……大丈夫ですか、それ?」
「アホしたら、俺が物理的に矯正するから!」
皆をなんとか説得した所で、ナグラさんが近づいてきた。
そして耳元で話しかけてきた。
「もしかして、私の事があったから断れなかった?」
あ~ICPO絡みって所に引っかかったのね。
全く関係無いのだが、そう言っても信じないだろうな。
ならば、関連してるとした方が良いだろう。
で、それを忘れるくらいの別の話をしてあげよう。
「ちょっとだけ関連があるかな?」
「……やっぱりそうなんだ」
「でも、そんな事よりも報酬がデカいから受けたんだよ?」
「ウソ。断れなかったんでしょ?」
「ウソじゃないよ。断ろうと思えば断ったさ。
でもデカい報酬を提示されたからね」
「……どんな報酬よ?」
「聞いて驚け! 何と、貰える経験値が大幅アップするんだ!
レベルが上がりやすくなるだけじゃないぞ? 『技術』も上がりやすくなるんだ!
RPGしてたのなら判るだろ?」
「あ~あるわね。そういうアイテムとかスキルとか」
「そう! そういうヤツだよ! それが貰えるのに、断るヤツなんて居るか?」
「確かにあの手の物は、手に入れたいわね……」
「そうだろ? だから受けたんだよ!」
「……判った。協力するわ」
「よろしく! あっ、皆には内緒だよ?
ミッションクリアしてから教えて、ビックリさせたいから」
「了~解」
うん、納得してもらえたようだ。
申し訳ない気持ちのまま一緒に行動しても、誰の得にもならないからね。
明るく行こうじゃないの!




