ポイント制
ビデオチャットも終わり、ここにはアサイさんとミズウミが残された。
アサイさんは良いとして、どうやってこのミズウミの性格を矯正したものか。
まぁ、まずは軽い所から始めようと思う。
「さて、俺に一任されたのは判ったと思う。
ミズウミには、俺の言う事を聞いてもらう。
勿論、無謀な事や理不尽な事は言わないから安心して欲しい」
「何で俺が……」
「あっ、そうそう、ポイント制にするからな。
反抗したり言う事聞かなかった場合はマイナスポイントを付けるから。
当然、ちゃんとすればプラスポイントを付けるぞ?」
「……そのポイントの意味は?」
「1日の終わりに閻魔様に報告する。
マイナスが多い場合は、何らかの罰が下るだろうね」
「ぐっ!」
「まずは呼び名からだな。ミズウミは言いにくいので、ミーちゃんで良いな」
「平民のくせにあだ名で呼ぶ気か!」
「マイナス10ポイント!」
「何故だ?!」
「内訳か? 教えて欲しいなら言ってあげよう。
平民という言い方がダメ、平民のくせにと見下している、『~か』と偉そう、おまけ、で10ポイントだ。
納得した?」
「出来る訳無いだろ!」
「マイナス10ポイント!」
「はぁっ?!」
「ちなみに今のは、納得しなかった、つまり反抗したという事でマイナスポイントだよ」
「ぐぬぬぬ……」
「ふははは、お前の生命線は俺が握っているのだ!
真面目になれば良い点が付くようになるぞ! 改心せよ!!」
「くそっ!」
「マイナス10ポイント! 汚い暴言を吐くな!」
「……」
煽ってみたが、見事に引っかかるなぁ。
今日だけで-1000ポイントくらい行くんじゃないか?
この短時間で-30だぞ?
「じゃあ後はよろしくね。私は帰るから」
「マイナス10ポイント!」
「何で私まで!!」
「自分の仕事を押し付けて、関係無い感じで帰ろうとしたからだ!
ちなみにイイクラさんに言うので、給料の査定に響くかもね」
「いやだわ、福田さん。私はそんなつもりじゃなくてよ?
すみませんけど、頑張ってくださいって思ってるのよ? 本当よ?」
「マイナス10ポイント! 気持ち悪い!」
「ヒドイ! 言いつけてやるから~!!」
そう叫びながらアサイさんは走り去って行った。
逃げたな? 逃げたって事でマイナス80ポイントを進呈しよう。
合計-100ポイントだ。今晩報告させてもらうぜ。
「……お前、結構ヒドイな」
「今のコメントは±0だ。
言ってる事はマイナスだが、偉そうじゃなかったのでプラス、で±0ね」
「……俺はどうすれば良い?」
「そうだなぁ。とりあえずちゃんとしてればマイナスになる事は無いぞ。
その上で、俺と行動してもらう。明日からはダンジョンに向かうから。
そうそう、仲間を紹介しなきゃな。とりあえず全員を集めるからリビングに来いよ」
「……判った」
おっ、良くなってきたじゃないか。
自制心はあるんだね。後はゆっくりと洗脳、いや教育だな。
とりあえずミーちゃんをリビングに連れて行く。
リビングにはヒタキさんが居たので、全員を集めてもらうように頼んだ。
当然、従業員も全てだ。会わせておかないと、何を言うか判らないからね。
10分後、全員がリビングに集まった。
カンキジコンビ・コタニさん・ナグラさん・ヒタキさん・メイド3人、合計8名。
1人づつ紹介しようとしたが、ミーちゃんがまた暴走しだした。
「これは美しいお嬢様方。よろしければ名前を教えてもらえないでしょうか?」
「マイナス60ポイント!」
「なんで!!」
「俺が紹介する前に喋るんじゃない! 見ろ! 女性全員が引いてるじゃないか!
1人マイナス10ポイントで、6名だからマイナス60ポイントだよ!」
何を片膝付いてカッコつけたセリフを言ってるんだよ。
似合わないっちゅーの。
閻魔様には悪いけど俺に言わせれば、お前のツラは普通なんだよ!
お笑い芸人で個性が無いって言われるタイプの顔だよ!
そういうのはカッコイイ人がするから良いの! ギャグにしか見えないっての!
自制心は何処行った?!




