閻魔様登場!
バカ2人を捕まえて遊んでいたが、よく考えれば閻魔様とは初対面だ。
うん、何か緊張してきた……。
子供でも知ってる有名な神様(?)だもんな。
あれっ? 今の子供って知ってるのだろうか?
ウソをつくと、舌を引っこ抜くとか知らないんじゃないかな?
おっと、タブレットからイイクラさんの声がする。
どうやら初対面の時が来たようだ。
『お待たせしました。今、閻魔様が来られます』
「おっ、お願いします」
『多人数でのビデオチャットとなりますので』
「判りました」
高機能なタブレットだな。
パソコン並みのスペックじゃないか。
Wi-Fiも無いのに、どうやって通信してるんだろ?
『待たせたな。儂が閻魔だ』
「あっ、どうも。福田哲司です。よろしくお願いします」
『うむ。勇者の時は助かった。非常に感謝しておる。ありがとう』
そう言って頭を下げる閻魔様。
閻魔様は誰が見ても「あっ、閻魔様だ!」って言うであろう姿だった。
うん、怖い。
そしてそんな人が頭を下げている。凄く居心地が悪いです。
「いえいえ! 俺なんかに頭を下げるのはやめてください!」
『何を言うか。こちらから要請をして動いてもらったのに、感謝をするのは当たり前ではないか』
「判りました! 判りましたからもう良いです!
十分に報酬も貰いましたし!」
『そうか。して、今回は何用なのかね?』
「えっとですね。今ココに閻魔様の子供を名乗る者が来てまして。
本当なのかと確認したいのですよ」
『……すまんが、画面に映しては貰えぬかな?』
「判りました」
タブレットについているカメラをミズウミに向ける。
ミズウミは必死に顔を隠そうとしているが、俺が映す方が早い。
これはレベルの差だろうね。
ついでに空いている手で、ミズウミの手をどけてやったよ。
『……福田君、もう良い。
確かに儂の子のミズウミのようだ。何でそこに居るのかは何となく理解した』
「そうなのですか」
『あぁ。イイクラに頼んで鍛えなおしてもらっているのだ。
そやつは少々、性根が曲がっていてな。このままでは後も継げぬからの』
『そこの説明は私が。
閻魔様に頼まれましたが、私も色々と忙しく。
そこでアサイに頼んだのです。前回の罰の続きにもなりますし』
そういう理由で一緒に居るのか。
そうか、性根が曲がってるのか。まぁ、会った時に判ってたけど。
『ところで福田君よ。そやつの第一印象はどうだったかね?』
「第一印象ですか?」
ちらっとミズウミを見ると、俺に向かって手を合わせ祈っていた。
あぁ、良い様に言って欲しいんだね?
俺は俺の感じたままを言うよ?
「第一印象は最悪でしたね。
会った時に上から目線で「平民が!」と言われましたし」
『『……』』
チャットの向こう側の人達は唖然としている。
というか呆れて声も出ないようだ。
こっちではアサイさんとミズウミが真っ青な顔をしている。
どうやら2人には問題がある、俺の発言だったみたいだね。
『すまんが福田君。ちょっとミズウミと代わってもらえるか?』
『その後に私もアサイと話がしたいので、代わってもらって良いでしょうか?』
「判りました。逃げないように捕まえておきますね」
タブレットはアサイさんに持たせ、俺は2人のベルト辺りを握る。
これで逃げれないだろう。
アサイさんは、タブレットの画面をミズウミに向けてる。
それから10分間、恐ろしい怒号がずっと聞こえていた……。
そしてアサイさんの番になり、また10分……。




